韓国人に低い大腸がん発生頻度、キムチの機能性を分析する

2000.11.10 63号 2面

韓国を代表する伝統発酵食品・キムチ。整腸作用による便秘予防、さらに大腸がん予防効果が期待できるなど、韓国人の健康維持に大いなる助けとなっているという。キムチの栄養、機能性および抗がん効果について、釜山大学食品栄養学科・キムチ研究所の朴健榮氏に聞いた。

当研究所ではキムチの機能性に対して多くの研究をしてきました。キムチは二一世紀の健康機能性食品として台頭してきています。これは緑汁(緑黄色野菜汁)ががんを予防して免疫を増強させ、老化を抑制し便秘を予防するなど多くの機能性を持つことに起因します。

しかもキムチはこの緑黄色野菜としての機能だけではない。乳酸菌数がヨーグルトと同等かそれ以上あります。それらの乳酸菌や有機酸・食物繊維などの働きで整腸作用を促し、便秘・大腸がんおよび高血圧・糖尿病などの予防に大いに作用します。キムチの整腸作用に関して私たちの行った研究では、「キムチの摂取によって人体に有益なキムチ乳酸菌の数が留意に増加し、逆に有害酵素などが減少する」という結果を得ました。韓国人のキムチ摂取と低い大腸がん発生頻度の関係を示唆する結果といえます。

また、キムチは血清コレステロールの量を減少させ動脈硬化を予防します。ビタミンC・βカロチン・クロロフィルなど抗酸化物質を多く含み、老化抑制・美容増進にも効果が期待されます。

そうしたキムチの材料を分解して見ていきましょう。

主材料は野菜。韓国で採れる大部分の野菜を使いますが、中でも最も多く食べられているのが白菜キムチです。そのほか、若大根・キュウリ・ネギ・高菜・ゴマの葉・桔梗・ニラ・ゴボウ・青唐辛子・ケール・海産物・カボチャなども使われています。キムチの主材料は、熱量が非常に低く、ビタミンおよびミネラルなど生理的調節作用を示す物質の含有量が多いのが特徴です。

副材料は、トウガラシ粉・ショウガ・ニンニク・塩辛および牡蛎(カキ)など。

それぞれ見ていくと、トウガラシの辛い成分であるカプサイシンは、胃液の分泌を促進させるだけでなく殺菌作用もあり、適当な量が使われるときは抗がん効果および免疫細胞の活性を増進させることが知られています。最近ではダイエット、持久力増進などの効果も分かってきました。ダイエット効果は、キムチに使用され適当に熟した時に、特に大きくなります。

ショウガに含まれるジンジャーロールは、血液循環によい効果があり、発汗作用と抗菌作用もあります。

ニンニクには強力な殺菌効果、活力増進および神経安定効果があります。またニンニク中のアリシンと硫黄物質にはがん予防および抗がん効果があることが報告されています。

塩辛は、魚介類の肉・骨・内臓・卵などを塩蔵し酵素により分解熟成させたもの。キムチによく使われるエビ塩辛はカルシウム含有量が多く低脂肪で淡泊な味が特徴です。しらす塩辛は熱量・脂肪分が高く、必須アミノ酸・カルシウムを多く含んでいます。

牡蛎は海の牛乳といわれるほど栄養価が高く、タンパク質・糖質・ビタミンB群の含有量に優れています。

キムチは副材料の添加によって機能強調が自由にできます。ビタミンC強化、食物繊維強化などで、「抗老化キムチ」「美容増進キムチ」、また抗がん活性が大きい物質を強化して「がん予防キムチ」などを開発することができるわけです。

キムチにはヘルシーフードとして大きな可能性があり、今後は世界的な食品に発展していくものと考えています。

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