だから素敵!あの人のヘルシー術、スタイリスト・久米麗子さん

2000.08.10 59号 4面

テレビのパーソナリティーのスタイリングをはじめ、講演・執筆などで活躍中の久米麗子さん。くるくる輝く力強い目がとても印象的だ。長い首を最大限有効に動かし、話に相槌を打つ。そばにいるだけでぐんぐんパワーが伝わってくる。聞き上手、着上手、そして肩の力を抜いた生き方の極意を聞いた。

長年着続けたお気に入りの服が、なんだか似合わなくなってしまった、という経験は誰にでもあると思います。長く生きていれば体型も変わるし、髪の色も肌の色も変わるのですから、それは当然。

もう歳だからこの服は似合わない、この色は似合わない、というのではなく、いくつになっても、好きな服を着続けることがおしゃれだと思います。

試しに、着慣れた服でも初めて着るかのように、大きな鏡で自分の姿を見てみて下さい。客観的に眺めてみると、いまの自分に似合う感じが分かってきます。

例えば、上半身のオレンジの分量が多過ぎるんだわと発見したら、スカーフで別の色をポイント的にあしらってみたりする。そうして「色の足し算・引き算」をすると、いままでの服も生まれ変わります。

最新モードを着ることだけがおしゃれだとは思いません。歳だからこの色は着られない、と思いこむこともないんです。ただ自分が「好き」と思った服を着てみることを大切にしたいですね。服選びを間違えたからといって、死んでしまうわけではないんですもの。肩の力を抜いて、自分の好きという感情を信じて、思いきって楽しく着てみることです。

着続けているうちに、いつの間にか着こなせるようになる。着こなせるようになるとさらに、自分なりに着くずせるようになってきます。

ヨーロッパのコレクション会場ですれ違った老婦人が、深いスリットの入ったスカートをさらりと着こなしていました。いくつになっても女性であることを意識した姿が、とてもセクシーで素敵でした。

日本の文化では、セクシーさというものは隠すべきと判断されてきました。でも歳を重ねても男性は男性、女性は女性。すれ違ったとき、思わずついていきたくなってしまうような、セクシーさを持てることって、素敵だと思うんです。みなさんも、服選びにちょっと遊びを加味して、大人のおしゃれを楽しんでみてはどうでしょう?

「着る」ということは「生きること」と一緒。生きている限り衣服を着るのですから。自分流の着方・生き方・スタイルは、毎日の積み重ねでできあがっていくものだと思います。仕事も一緒。いまの私の仕事も、これまでいただいてきたチャンスに、自分が好きだな、できそうかなと思ったことを精一杯させていただいてきただけ。飽きずに続けてきたことが、いまの私の生き方・スタイルを作ってきたと思うのです。

スタイリストの仕事は力仕事。服や小物選びに奔走する毎日。あまりに重い荷物を持つため指輪が曲がってしまうほど。背骨も曲がってしまっているようで、以前は肩コリや腰痛に悩んでいたんです。いまは指圧に通ってメンテナンスしています。特に身体は鍛えてはいませんが、移動は車を使わず、よく歩くようにしています。

食べるものは、バランス良くを心掛けています。いいものも悪いものもバランス良く取り入れるのが私のモットー(笑)。身体にいいからってそればかり食べるのはかえって良くない、というじゃありませんか。食生活もそう、おしゃれもそう、適当なバランス感覚を大切にしたいと思っています。

家で過ごす時間が好き。休みの日は首にタオルをまいて庭いじりをしたり、お惣菜を作り置きしたり。日々の暮らしの積み重ねを大切にしたいから、食べることもなるべく人任せにはしたくないんです。仕事帰りの疲れた時こそ、“おうちでごはん”派です。スタッフや仲間を招く機会も多いんですよ。

主婦ですから料理を特別なものとは思っていません。とはいえ普段の日は時間もないし、凝ったものは作れません。いたってシンプル。味は素材の良さがカバーしてくれますから(笑)。鮮度の良いもの、調味料の塩なども質の良い物を選ぶようにしています。

いまハマっているのは、私流エコクッキング。ニンジンの皮や、ブロッコリーの茎、ピーマンのヘタの部分など、いままで捨ててしまっていたところを利用するんです。

料理のたびに出る野菜クズを捨てずに、みじん切りにして容器に入れて冷凍保存。色とりどりのクズのみじん切りがある程度たまったら、それをベースに、パスタソースを作るんです。何ともいえない野菜の甘みと深いうま味が出て、おいしいの。我が家に来る客人にも評判の逸品なんです。実は彼らには、うま味の素がクズとはナイショなんですけど。

オムレツやハンバーグの具に混ぜ込んでもグー。生ゴミは減ったし、おいしいし、楽しいし、お勧めです。

1945年、兵庫県生まれ。共立女子大学卒業後、マミフラワーデザインスクールで学び、のち同スクール講師を務める。20代からテレビ出演、服飾雑誌などのモデルとしても活躍。85年からテレビ番組のパーソナリティーのスタイリングを主としたKパックを主宰。著書に『服が好き』ほか。夫はニュースキャスターの久米宏さん。

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