あした天気になあれ:「日暮れが一番早い日は冬至」○か×か

1999.12.10 51号 5面

なかなか寒くならなかった今年の秋だったが、11月も後半に入りやっと冬が近づいたと感じられるようになった。

この頃から1月の半ばを過ぎるまでの期間に山に行くときには日の長さを頭に入れ、いつも時間を気にしながら行動しなければならない。午後遅くなっても元気いっぱいな夏の太陽とは違い、この時期の太陽が元気なのはせいぜい午前中。2時を回ればもう寂しげな輝きになり、天気の良い日ならまだしも、くもりや雨の日だともう夕暮れかと思うような暗さになってしまうからである。だから計画からして4時前には下山口に到着できるように考えるのである。

一日で太陽が出ている長さ、日長時間が一番短い日が冬至だということはよく知られている。当然、日が暮れるのもこの日が一番早いと思いがちだが、これが違うのだ。日暮れが一番早いのは実はもう少し前、12月7日から8日あたりなのである。それ以降、日暮れは少しずつ遅くなるが、日の出の方もさらに一段と遅くなって、12月21日か22日くらいに日長時間が一番短い冬至となるのである。冬至を境に今度は日が長くなっていくのだが、日の出の方はまだ遅くなり続け、半月ほど後の1月7日か8日に一年で一番遅い日の出を迎える。

ちなみに東京では今年、12月7日の日の出が6時36分、日の入り16時27分、日長時間九時間五〇分。12月21日は同6時46分、16時31分、九時間四四分。1月7日は6時51分、16時42分、九時間五一分と計算されている。

気象歳時記を参照すると、日の入りが一番早い12月7日は大雪(だいせつ)で西高東低の冬型の季節配置が強まって、北国では本格的な雪が降り出す頃であり、最短日長の日が冬至、そして日の出が一番遅い日が小寒(しょうかん)で、これからが本格的な寒さを迎える時期だ。二四節気が日の出・日の入りの変化とちょうど合うのも面白い。

こんな季節は雑木林の低山歩きが良い。弱いといっても日が射せばさすが十分に暖めてくれる。ポカポカの日差しの中、葉を落とした木々の間から遠く雪をかぶった山々を眺め、のんびり昼食をとったりして、四~五時間歩くのはとてもぜいたくな時間の過ごし方だと思うけれど、どうですか。

(日本山岳ガイド連盟

公認ガイド 石井明彦)

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