自由時間術:スパイスの世界を極める
知らないでも一生。知ったら、それが活きてくる--それが、スパイス。ということで、東京・浅草橋のジャパンハーブスクールで行われたスパイスセミナーにお邪魔して、講師の朝岡香辛料(株)の朝岡和子さんに、スパイスの上手な使い方を教わった。
「マリー・アントワネットや楊貴妃は、美容と痩身のため、スパイス使いの達人だったといわれています」。「肉に黒コショウ」というような防腐・殺菌・日持ちのためだけでなく、スパイスはさまざまに利用されてきた。フェンネル、甘草、シナモン…カレーの材料は、胃腸薬の原材料としても使われている。「今年はインフルエンザがはやりましたが、“風邪の予感”を感じることありませんか。その『感じ』がとても大切なんです。なんといっても病気は予防が一番。自分の身体にアンテナをはって、被害を最小にとどめます。そして感じたら、お次は手当て、『即実践』が大事です。そんな時スパイスが活躍します。スパイスは、特にかしこまって薬を飲む、という感覚でなく、日々おいしく楽しく健康を守ってくれるのです。人間が生きていく中で一番大切なのが自己管理ですから。身体のためにも、スパイスをもっと活用していただきたいですね」
スパイスを上手に使いこなすコツを聞いた。「まず保存は、湿気・温度・光線に注意。開封後半年するとオイル成分が抜けてきます(原形なら一~一・五年)。でも少し古くなったものでも、ちょっとした工夫で、味や香りを復活させることができます。例えば、カレーなど煮込み料理にターメリック(ウコン)を加える前、フライパンなどで空煎りして再乾燥させると、青臭さが飛びいい香りが出てきます。またニンニクや月桂樹は酸化する(刃物をいれる)ことによって、香りが出ます。粉状のスパイスは料理の仕上げ時に加え、原形のものは具材と一緒に鍋にいれて始めから煮込んでいくのが、風味をひきだすコツです」。
そしてもう一つ、スパイス使いのカギは配合。「スパイスは孤独が嫌い。カレー屋さんやウナギ屋さんの、あのいいにおいは、いろいろなスパイスが混然と混ざった状態なんです」。ウコンが肝臓にいいからって、そればかりたくさん入れれば効くってもんでもない。シナモンが好きだからって、そればかりたくさん入れればおいしいってもんでもない。「机上の学問でなく、自分の身体で実践する」。作ってみる、嗅いでみる、味わってみる。そして同時に身体への効果も感じてみよう。身体がポカポカする、肌がスベスベする。そのすごい薬効とおいしさを『感じ』た時、あなたももうスパイスのと・り・こ。