百歳への招待「長寿の源」食材を追う:乳液に蛋白質分解酵素「パパイヤ」

1998.11.10 38号 11面

パパイヤは熱帯アメリカのメキシコ・コスタリカ地方が原産であるが、現在では世界の熱帯・亜熱帯で広く栽培されている。外国ではツリー・メロンとも呼ばれ、木になるウリを意味している。種をまいて早いものでは一年で実をつけ始める。

暴風雨に弱く、排水不良の地では生育できない。雌雄異株で、実のつくのは雌木だけ。早実は球形・倒卵形など品種によって異なるが果重は〇・七~四・五キロと差が大きい。

果肉の色は黄色・オレンジ色・紅色とあり自然交配によって変わりやすい面をみせている。生食用としてソロ種の人気が高く黄色種で倒卵形。重量は一個一キロ前後である。

パパイヤを縦に真っ二つに切ると中心に空洞があり、ここに透明な柔らかな皮をかぶったこしょう粒大の黒い種子が詰まっている。

果肉はヌメヌメとしたオレンジ色か紅色。酸味は全くない。果肉はとろけるように柔らかく、甘味があり、繊維質の少ないのが特徴。特有の香りがあり味は意外と複雑。このため初めての人に嫌われることが多い。しかし食べ慣れるとやめられないのが熱帯産果物の特性ともいえよう。

パパイヤの成分をみると一〇〇グラム当たり四九キロカロリー、ビタミン類はA効力四七国際単位、C六五ミリグラムと、Aの含有量はトップクラス、Cでもミカンやレモンなみと優れている。

中国では「番木瓜」「万寿草」などと書き薬食視している。エネルギーが少ないので減肥効果大と勧める。性が平(おだやか)、味は甘、清理血熱、よく肌膚を滑潤にするので女性にとって美肌食とみている。また歯の弱い老人にとって柔らかく食べやすい。ビタミンの給源には最適ともいえよう。このため健康食品・美容食品とも呼べる。東南アジア諸国では冷やして朝食用にする。思わず一キロ近くも食べられるほど、口当たりの良い果物である。

パパイヤは、タンパク質分解酵素「パパイン」を含んでいるので有名。しかし完熟したパパイヤにはほとんどみられない。葉から出る乳液にはパパインが多く、堅い肉をこの乳液に漬けておくと一~二時間で柔らかくなる。

一年中出回っており、しかも利用方法が広いため便利なトロピカルフルーツといえる。最高で最も手軽な食べ方はスプーンなどで食べる生食である。このほか、サラダ・揚げ物・ミルクセーキ・シチューなどの料理をはじめアイスクリーム・シャーベット・ショートケーキ・パイなど菓子やデザートに向く。

ドライフルーツや缶詰にしてもおいしい。特に青いパパイヤは果物としてではなく野菜用である。一年中出回っており、未熟果は果肉が堅いので薄く切って漬物用や煮物用に。肉と一緒に煮ると肉が早く柔らかくなる。

中国でも福建ほかで量産が進み、新しく薬効面でも潤肺・咽頭炎・気管支炎・便秘・利尿などに効果があることが判明してきたようである。

(写真は講談社刊「フルーツカッティング」より)

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