飽食の裏側=食の再点検 「冷凍野菜」栄養価は落ちない
冷凍野菜の出現は、食べたいだけ取り出せて低価格、下処理済みで調理時間は短縮と、台所を預かる身としてはいいことづくめのようだ。では生鮮野菜と比べてその栄養価はどうなのか。国民生活センターの調査結果から見てみよう。
野菜は低カロリーでビタミンやミネラルなどが豊富、栄養面に対しての期待は大きい。しかし冷凍野菜はブランチング(茹でる)の前処理がされていたり、冷凍保存されていることから、消費者の意識としては生鮮野菜と比べその価値は低いと思われているようだ。それでは日本食品標準成分表の生鮮野菜と比較した数値をみてみよう。
結果は生鮮野菜と比べ栄養価でおおむね大きな損失は見られなかった。それどころか枝豆のビタミンA、鉄に関してはやや多めの結果が出ている。また、ほうれん草では栄養成分による差が大きくビタミンAとカルシウムはかなり多め、ビタミンB1、C、鉄は少なめだった。ブロッコリーに関しては全体的に生鮮野菜と比べどの栄養成分も少ない結果だった。
ただし商品の銘柄によって結果が違うのも気になる。ほうれん草、インゲンでは銘柄間で二倍以上の差がある栄養素もあり、下処理の段階でなんらかの理由で損失していると思われる。
おいしさでは二○名の主婦のモニターテストによって「外観」「におい」「歯ごたえ」「味」と「総合的なおいしさ」について五段階評価によって行われた。全体的にみて生鮮野菜は素材、味、におい、そして総合的なおいしさの点で冷凍野菜より評価は明らかに高く差がみられた。ただ野菜ごとにみると生鮮野菜よりも評価の高い冷凍野菜もあり、利点、欠点を含め、自ら味を食べ比べる方法が確実なようだ。