消費者と会いたい-生産者からの手紙 安全・安心ミカンを届けたい

1998.06.10 33号 13面

「産地直売」も数年間やってみました。私の家族は先祖が数百年かけて丹精こめた山で生計をたてています。

祖父が植えた、父が育てた、そして私が植えたミカンの木、総計一八○○本。一本一本子供と同じようにクセがあります。ミカンの木は二○年目くらいから商品価値のある実が採れ始め六○年前後で寿命を終えます。

全国統計でみるとミカンの木は急激に減っています。当然、ミカン農家も減っています。九七年には実の付きがよく豊作になり、価格が下落しました。需要と供給のバランスは供給が二○%増えると価格は六○%下がるのが通常です。だから食べる皆さんに渡さず、価格を少しでも維持するために畑に捨ててしまうのです。

産地直売では家族を養えない、人間の力では裏と表がある神の摂理に逆らえない、貿易は自由化され安い外国産の柑橘類がどんどん輸入された--そこで考えました。近頃「有機、有機」と騒いでいるようですが、土地・木に安全な肥料を使い、安心なものを心を込めて作ろう。泥だらけになって作る人に徹しよう。そのために「日の丸ブランド」の販売はミカンを理解する専門家にお願いし、時には食べる人との交流も忘れずにと考えている毎日です。

(南有田有機アルギット栽培研究同士会 栗山清和)

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