百歳への招待「長寿の源」食材を追う:コラーゲン
いまコンビニのヒット食品はキシリトールとコラーゲン。前者は白樺エキス、後者は牛・豚の骨や皮から作られたもの。いずれも新しい食品として長寿化社会の必需品。その効用は高く、これからも人気を呼ぶものと思われる。
(食品評論家 太木光一)
コラーゲンは膠原(こうげん)質とも呼ばれているが、結合組織の主タンパク質を指す。哺乳動物の場合、全タンパク質の二○~三○%がコラーゲンで、骨・歯・靭帯・腱などを構成する。
コラーゲンの本格的な研究の幕開けは一九五○年頃からで半世紀もたつ。六○年以降に研究が進み、最近一○年間に生物学・医学的に多くの成果がみられた。
現在、コラーゲンは牛や豚の骨からとったボーンコラーゲンと豚の皮からとったリンドプロテインに大別され、国産品のほか輸入品もみられる。輸入先はデンマーク・スイス・英国・アメリカなど。
コラーゲンの利用範囲は非常に広く、医療用・化粧品用・食品用など。工業用にも使われている。医療用ではコラーゲン繊維として人工腎臓透析膜や、コラーゲンシートとして人工皮膚などに、また手術縫合用の糸にも利用されている。
化粧品としては、優れたモイスチャー効果を利用してスキンケア・ヘアケア用に活用されている。肌の若返りが期待されるとしてクリーム・ローション・リンス・パック剤に加えられ、人気が高まってきた。
美肌メカニズムも解明されてきた。皮膚は絶えず新陳代謝が行われ、約一カ月で新しい皮膚が作られる。表皮にはケラチンと呼ばれるタンパク質があり、古くなると角質化して垢となる。肌の健康と老化予防にコラーゲンが大きく役立ち、肌の潤いを保つ役目も判明した。
美容と老化防止の大テーマで多くのメーカーが参入を試みた。コラーゲンの補給には肌に直接塗る方法と、コラーゲン入りの製品を飲んだり食べたりして身体の内面から補強する方法の両面から研究が進められてきた。
コラーゲン入りドリンクが各社から発売され、先発した化粧品メーカーの物はこの一年間に数百万本を売るヒット商品となった。また飲料メーカーはコンビニを中心に販売し、大きな伸びをみせている。このドリンクは、年齢とともにコラーゲンの生成能力の落ちてくる三○~四○代の女性に人気があり、わずかの費用(一本一○○円)で美肌が保たれるとしている。
中華料理もコラーゲンを巧みに利用したメニューがある。伝統的に医食同源であり、スタミナづくりの食材が多い。魚翅(フカヒレ)・魚肚(浮袋)・燕巣・海参(ナマコ)・豚足・熊掌・鹿筋ほか。老化は美容の大敵であり、すべての人々が若さの維持に活用している。
コラーゲンを熱処理・化学処理すればゼラチンとなる。魚を煮つけて煮こごりができるのはコラーゲン分子が熱によって分解されゼラチンとなって溶け出てきたもの。厳密には異なるが、食品として同じ効果が期待される。コラーゲンの効用は拡大し、「小ジワが減り肌が若返った」「長年の腰痛が治った」「骨粗しょう症がよくなった」-などの報告もきかれる。今後ますます高齢国の人気商品となろう。











