高齢者用商品開発 食品業界の実状 シルバーサービス展

1997.04.10 19号 9面

日本の高齢化は、従来の予想を上回るスピードで進んでおり、二十一世紀の半ばには国民の三人に一人が高齢者という超高齢者社会が予想されている。現在、公的な介護サービスの基盤整備の推進とともに、国会に介護保険法案が提出され、確実に国民の関心は高まっている。民間のシルバーサービスも、増大・多様化する高齢者のニーズにこたえる動きがますます期待されている。しかし、まだ今後の超高齢社会のもとでの個々の暮らしについて、具体的なイメージをつかみきれていないのが実情だ。食品業界にも最近、高齢者用サービスや商品開発へ力を入れる企業が増えてきた。シルバーサービスの話題を追った。

3月6~8日、東京・池袋で行われた「第七回シルバーサービス展」の来場者数は過去最高の三万五二○五人。協賛・出展企業も、保険・建設業などを中心に年々増えつつあるが、食品業界からの参加が非常に少ないのが目立った。

この傾向は、このイベントだけには限らない。シルバーサービスに積極的な食品関連の企業といえば、食事介助機能のあるスプーンやテーブルのメーカー、給食業者・配達サービス会社など。

生活に欠かせない衣・食・住のうち、食品業界の高齢者用商品開発・販売への取り組みは消極的という感がぬぐえない。食品の性格上「高齢者用」と商品に明記すると、売れ行きにマイナスの影響を及ぼすとの見方がいまだに強い。

これに対し、一般の超高齢社会の食生活術への関心は高まるばかり。シルバーサービス展でも、管理栄養士の竹内冨貴子さんが担当したイベント「高齢者のための食事づくり」講座では、高齢の男性が熱心に参加する姿が多く見られたのが印象的だった。

主催した(社)シルバーサービス振興会(東京都千代田区、TEL03・5276・1600)では、「今後は、特定保健用食品の認可商品を持っているメーカーを中心に、食品業界からの参加企業を増やしていきたい」と語っている。

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