「おいしいお料理」考 シェ・ピアフ主宰=渋谷智

1996.10.10 13号 8面

楽しいお食事には、おいしいお料理を囲んで、なごやかな雰囲気と話題、そして音楽が欠かせない。おしゃべりをしないで、静かに速やかに食べるのは、健康のためにもあまり良くないし、ひとりっきりの食事は最もまずい。消化には、笑ったり、話をしたり、楽しくコミュニケーションしながらが、一番です。

ヨーロッパではどこの国でも、昼食の時間はたっぷりとって、友人や家族とゆったり過ごし、午後の仕事に励むのが習慣。これに比べて日本人は、食事の時間がとても短いと思う。勤勉社会のシステムのせいかも知れませんが、最近は、食事をゆっくり楽しむ人も少しはふえているようです。

食事時は、あまり大きな声や大げさなアクションは控えめにするのが大人のマナーのひとつです。

おいしいお料理は、どんな時でも無条件に幸せな気分にしてくれます。しかし、おいしいお料理とは、必ずしも豪華なものとは限りません。適度な空腹感の中で頂けば、ちょっとしたサンドイッチでさえ、おいしく、幸せを感じる。

結局、お食事を楽しむコツは、味はもちろんのこと、おいしいと感じるセッティングが大事なのかも知れません。

(シェ・ピアフ主宰=淡谷智)

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