だから素敵! あの人のヘルシートーク:歌手・中尾ミエさん
今月号の「あの人のヘルシートーク」は、NHK朝のテレビ小説「走らんか」でも活躍中の中尾ミエさん。15歳でデビューして以来、目標にしてきた季節を迎える今年は、その記念となるショーも全国展開するという。歌手として女優として輝くばかりの笑顔をキープし続けるため、日常はどんな健康管理を心がけているのか、じっくりと聞いてみた。
今年は6月でね、私が生きてきて半世紀を迎えるもので(笑)、その記念になるショーをやろうと思っています。一五歳でデビューして以来ずっと音楽の仕事をしてきた中で、ひとつの私の理想があったのね。その年になった時、歌って踊れる歌手でいたいなあって。だから今年はそれを実現させたいと思います。まあどれくらいか分からないけれど、かなり踊るステージにするつもり。今までいろいろなことをやってきましたから、その集大成みたいなものにしたいな。
長く現役の歌手でいるための健康管理ですか。とりあえずちゃんと規則正しく食べて、睡眠時間をキチンととる。当たり前のことを続けるというのが一番いいんじゃないかと思います。朝はちゃんと8時に起きてすぐご飯を食べて6時には夕食を摂るようにね。私、食事の時間には食事を摂るんですよ、仕事中であろうが何だろうが。それで12時には眠っています。
当たり前をいかに持続させるか、これがポイントね。職業とかに関係なく、人間ってみんな同じ機能でできている。つまり規則正しく生活するようにできているわけでしょ。特殊な体質の人っていないわけだから。芸能人だからとか何とか思ったら、それは自分への言い訳ですね。芸能人だからってエクスキューズして普通の生活ができない人は、遊んでいるだけだと思う。
そうはいっても私も若い時は夜遊びしましたよ。寝るのが惜しくてね。明るくなるまで眠ったことなかったりして。夜がみんなのコミュニケーションの唯一の場でしたからね。でも三〇過ぎたらやっぱり、ああ、もうそういう生活じゃもたないなと思って。
仕事を長続きさせたいとか、コンデションを維持したいとか思ったらキチンとした生活をしないと。結局はやっぱり自分のためですからね。コンディションが悪くて仕事するのってイヤでしょ。
プロとしては、いつもいい調子で仕事していたいから。
私、大体ね、実はそんなに身体強い方じゃないんです。子供の頃はしょっちゅう病気してたから。自分で弱いって意識があるのね。だからなおさら気を遣って自分を大事にしているんでしょうね。
デビュー前、渡辺プロと契約する時、「健康ですか?」と聞かれたの。デビューするまでの一年間はジャズ喫茶のバンド専属歌手として鍛えられた。ジャズ喫茶というのは、昼五回、夜五回、計一日一〇回のステージをやらなきゃいけないんですよ。デビュー後、最初のレコード「可愛いベイビー」がヒットしてからはスケジュールが二四時間入っていてね。もう本当にメチャクチャ忙しかった。仕事を始めてから、あの時「健康ですか?」と聞かれた意味がなるほどと分かりましたね。そうでなくてはつとまらない。ええ、もちろん「健康です」って答えましたよ(笑)。
食べ物の話では、昨年ちょっと画期的なことがありました。どうしてもダメだった納豆が食べられるようになったの。ヌルヌルしたものはみんな苦手なんです。山芋とかオクラ、ナメコ……それで納豆もね。それが少年隊のヒガシ(東山紀之さん)にある所へ連れていってもらって、「騙されたと思って食べてみてください」って言われて食べた納豆がおいしかったの。ユッケに納豆と生タマゴを合わせて、かかっているタレにちょっと味があってね。それで納豆臭さがなかった。
それがキッカケで、ああおいしいんだと食べられるようになったんです。それでもご飯の上にかけて食べるのはダメね。納豆だけ別に独立して食べるのはもう大丈夫です。
他に好き嫌いはないですね。食べる量に関しては、最近ちょっと意識してダイエットしているんですが、エステティックサロンで教わった通り、夜はなるべく量をとらない。朝五、昼三、夜二ぐらいの割合で食べてくださいと言われたのを守っているので、目標通り、やせてきました。
身体を動かすことは、積極的にしています。テニスは週に一回、行ける時は二回通ってます。これがもう四~五年かな。クラシックバレエはキチンと週二回、こちらの方はもう一〇年になります。だからけっこう一日おきには身体を動かしている感じ。月・水・金・土曜のローテーションができています。
そういう生活に慣れているから、身体を動かさない方が気持ち悪くなっちゃって。二~三日じっとしていると、病気になっちゃうんじゃないかと思ってしまいますね。
身体の健康の方はそういうわけで、自分で努力してキープしていますが、精神的には強いなって自分で思いますね。とくに思うのはどこでもちゃんと眠れること。眠る時間、眠らなきゃいけない時間になったら、それがたとえば8時だろうが9時だろうが、しっかり眠れます。だから外国に行っても時差は全然気にならない。
悩みごとも眠って食べて、それで余った時間でしか悩まない。まず眠って食べてというのが大事で、それを削ってまで悩むことってそんなにないと思うから。たとえば命に関わることなら考えるかもしれないけれど、そうでない限りは自然が解決してくれることが大半ですからね。そういうところに関しては自分で感心しますよ。私って強いなあって(笑)
それから何でスポーツをやっているかっていうと、これは私のメンタルヘルスケアでしょうね。スポーツをやることによってストレスを発散できる。また、声を出す仕事であることもいいんでしょうね。人間って具合が悪くなると、声に一番如実にあらわれる。力がなくなったりね。声を出していることも健康のバロメーターといえるでしょう。
何でも明るくポジティブに考えるようにしています。たとえば芝居の現場であんまりおいしくないお弁当が出た時、なんだこのお弁当マズいと思っちゃうとすべてのことが腹立たしくなっちゃうけれど、ああ良かった、たくさん食べなくてすむ、きょうもダイエット成功と思えばね、嬉しいでしょ。
ホテルのディナーショーのお仕事でも、皆さんが食事している時、私、仕事しているわけじゃないですか。ドレスを着ることもあるし歌うから、あまり食べられない。地方に行っておいしいものがたくさんありそうなのに食べられないのは残念だけれど、ダイエットに一石二鳥だと思えばね。ショーの時は、お昼に食べて、ショーの最中はおソバとかサラダとかをちょっとつまむ程度で、終わったらもう何も食べない。これはダイエットにいいですよ。
自分のペースは自分で守っていかないと、人は守ってくれませんものね。やらなきゃいけないところはピシッと自分でケアしていく。その上で装飾はいろんな人が手を貸してくれます。心身ともに良い状態を保って、記念イベント、がんばりたいと思います。やっぱり身体を目一杯動かすステージは、気持ちとは別に限界がありますからね。やれるうちにやれることはやっておきたい。次の目標ですか? どっちにしても七〇歳までは現役でやるわよって宣言してますからね。どういうステージを目指すかということは、これが終わってから考えます(笑)
四六年6月6日、北九州市小倉生まれ。六一年15歳で渡辺プロダクションに入り翌年「可愛いベイビー」が一〇〇万枚を超す大ヒット、一躍大スターに。伊東ゆかり、園まりさんと“三人娘”として話題を呼んだ。女優業、司会業にも定評があり、現在はNHKテレビ小説「走らんか」、テレビ朝日「目撃ドキュン」、テレビ東京「タモリの音楽は世界だ」などに出演中。舞台の日程は下表の通り。