ヘルシートーク:美容ジャーナリスト・齋藤薫さん

2016.02.01 247号 05面
齋藤薫さん

齋藤薫さん

”一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき

”一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき

 美容ジャーナリストとして数々の美容テーマを取り上げてきた齋藤薫さん。5年以上にわたって綴られてきたコラムがこのほど1冊に。“気づくだけのアンチエイジング”を提案しています。「ちょっとしたことの積み重ねで女性は変わる」という齋藤さんに、美しく歳を重ねる方法と、ふだんの食事について伺いました。

 ●がむしゃらにならなくてもいい! お金のかからないアンチエイジング

 「美容=アンチエイジング」というくらい、年代を問わず多くの女性たちがアンチエイジングに魅かれています。アンチエイジングというと、ひと昔前までは45歳以上の女性を対象にした言葉でしたが、10年ほど前から、20代でも意識する流れになっているように思います。

 コンシーラーが若い人に売れているという話を聞くと、欠点を許さず、完璧を求めるようになってきているんだなと。でも、アンチエイジングは化粧品に頼るだけではなく、もっと「生活に根ざしたもの」という思いがあって……。

 このほど出版した『“一生美人”力』では、美しく歳を重ねるための108の“気づき”を提案しています。どれも生活の中にある手軽なことばかり。ちょっとしたことに気づくことが綺麗のヒントになるということ、美しさにがむしゃらにならなくても魅力的なまま歳を重ねられるということをお伝えしたいと思いました。

 たとえば“立ち姿”を意識するだけでも、それは美容です。横断歩道で青信号を待っている時、スーパーマーケットのレジを待つ時、ついゆるみがちな瞬間にも美しい佇まい……姿美(すがたび)は、真に美しい女性の基本といえるのではないでしょうか。「そんなの疲れてしまう」と思われるかもしれませんが、その姿が当たり前になった時、その人は綺麗になっているはず。ちょっとした“気づき”を毎日積み重ねることで、女性は絶対に変わっていくし、その積み重ねがその人のイメージをつくっていくと考えると、やはり「一瞬、一瞬が美容」だと思うんです。お金も手間もかからないアンチエイジングの方法。それが“気づくこと”なのです。

 ●“気づき”は誰の中にもあるもの 見つけていくと人生が楽しくなります

 私が“気づくこと”にこだわり始めたのは、あふれる情報の中で人はモノを考えなくなり、美しさや魅力につながることを自ら工夫しなくなっていくと感じたから。だからこそ、「もっと考えてほしい」という願いもあって“気づくこと”に行き着いたのだと思います。

 108の気づきは、私自身の日々の生活の中で、ふと思いついたことを綴りました。「ハンカチは白しか持たないという選択は、女を清らかにする」「“ゆっくり動く”と生き方が変わる」「次に使う人のために洗面台を拭けるのは品性の美容」などなど。これらは決して特別なことではなく、難しいテクニックも必要ありません。ふだんは忘れているけれど、ふとした瞬間に思い出すことであったり、「やらなくちゃ」と心のどこかで思っていることだったりするんです。だから、“気づくこと”は思い出すという動作なのかもしれませんね。私自身けっこうズボラで、本に書いてあること、実は全然できていないんです(笑)。自戒しながら、私自身の“気づき”を引き出していきました。

 女性の身体はとても敏感。ちょっとしたきっかけを与えてあげるだけで全身に連鎖して、綺麗になるんです。だからこそ、気づくだけのアンチエイジングなのです。

 “気づき”はきっと誰の中にもあるもの。いくつになってからでもいい。「あれもそう、これもそう!」と気づき出すと、生きていくことが楽しくなると思います。みなさんも自分の心に問いかけて、たくさんの“気づき”を見つけてほしいですね。

 ●一食一食を大切にするのが人生 母の「かぶのスープ」が思い出の味

 「一食、一食の食事を大切にするのが人生」という思いもあって、本では食にまつわる“気づき”もいくつか提案しています。

 その一つとして、「食事のはじめに、野菜でまずお腹をいっぱいにする幸せ」について書いています。私は野菜が大好きというわけではなかったのですが、ダイエットをきっかけに食事のはじめに生野菜をたっぷり食べることを習慣にしたら、だんだん野菜が好きになりました。いまでは毎朝、サラダほうれん草やブロッコリー、オクラなどのグリーン野菜をどんぶりいっぱいに食べています。白バルサミコとオリーブオイルにちょっとのお塩を混ぜた、特製のドレッシングをかけて。白バルサミコは珍しいですが、百貨店などで手に入ります。ツンとこない、なめらかな味わいがサラダにピッタリです。

 冬野菜では、かぶのスープが思い出の味ですね。以前体調を崩した時に、母が毎日つくってくれたんです。ジューサーにかけただけの白いスープは、淡白だけれどちょっと甘みがあって、やさしい味が痛んだ身体と心にあたたかくて……。スープで一つの野菜をじっくり味わうと、その野菜がもっと好きになれる気がします。

 また、山盛りの小松菜と豚肉だけでつくる「常夜鍋」は、冬の我が家の定番メニュー。入れるのはお酒だけというシンプルさですが、おいしくて本当に飽きないんです。一説によると、あまりにもおいしくて毎夜食べてしまうから「常夜鍋」と呼ばれているそうです。簡単なのに栄養もあって、美容にも良いのでおすすめです!

 ◆プロフィール

 さいとう・かおる 女性誌編集者を経て現在、女性誌やネット媒体などに多数の連載エッセーを持つ。美容記事の企画、化粧品開発アドバイザーも務める。エッセーでは時代のファッションカルチャーを切り取る鋭い視線と切れ味のよい文章が、「気持ちを前向きにさせてくれる」と多くの読者の支持を集めている。著書に『されど“服”で人生は変わる』『あなたには“躾”があるか?』(ともに講談社)など多数。

 ◆『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』 朝日新聞出版 1,400円(税別)

 美しく歳を重ねることは女性の永遠のテーマ。そのヒントは、意外なほどに身近なところにあった。思わず背筋が伸びる“108の気づき”の言葉が、読者をきっと綺麗にする。齋藤さんの「一生モノのケア習慣」も紹介。

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