女性店主に聞く!女性をつかむラーメン最前線:はないち 安心感提供でママ友集まる
「しおらーめん」780円(税込み) 試行錯誤の末に牡蠣だしへ
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●母親としての経験生きる店に
東京・練馬区の「はないち」は、鶏白湯と牡蠣だしを合わせた「しおらーめんが看板メニューの名店。男女比は5対5で、女性のほぼ全てが子連れ、主婦層というラーメン店としては特異な客層。子ども用の椅子やメニューにはじまり、絵本を置いた小上がり席や、スーパーボールのつかみ取りなど、子どもが喜ぶ取り組みで、母親の客を中心に絶大な人気を得ている。
取り組みの根幹にあるコンセプトは、「家族連れでも安心して入れる」こと。その理由を、「働きながらご飯を作る事は大変な作業でした。そんな時に子連れでも安心して利用できる外食がもっとあればと思ったんです」と、一児の母でもある伊藤綾店主は語る。
もともとFFで12年間勤務し、飲食店を開業したいと思っていたという伊藤店主。ラーメンが好きだったことと、“おいしい一杯”に入魂するスタイルに引かれて開業を決意した。
それまでラーメン店の経験が無かったため、初めは試行錯誤の連続。開業から9年を経て進化を重ねる度にシンプルに生まれ変わった。当初は、ニンジンや鶏脂などさまざまなものを加えた鶏清湯スープだったが、現在はガラとモミジから取った鶏白湯に。塩だれに使うアサリから取っていただしは、牡蠣だしと和風だしを合わせたものに行き着いた。
メニュー作りのヒントになったものは“離乳食”。「乳幼児に与えるものは、使える調味料が限られるし、なるべくシンプルにしなければいけない。しかし、食べてみるとそれが意外においしかったので、ラーメンも素材の味を信じた方がおいしくなると学びました」と、伊藤店主。
「女性、特に母親はおいしいだけではまったく駄目です。健康や、子どもに食べさせたいかという価値観も重要になります」と伊藤店主が語るように、素材は全て天然にこだわり、シンプルにすることで、おいしさとともに、子どもにも安心して食べられるラーメンとして母親の客の心をつかんだ。
「まだまだ男の世界であるラーメン業界に、子育て母が輝ける場所をもっと増やしていくことが今の夢です」と語る伊藤店主は、母親ならではの視点を武器に、ラーメン業界に新風を送り込んでいる。
●店舗概要
「はないち」 所在地=東京都練馬区練馬2218 ハイツ練馬1階/開業=2007年/営業時間=月~金 午前11時~午後2時、6時~翌午前1時、土 午前11時~翌午前1時、日・祝 午前11時~午後11時/坪数・席数=7坪・8席 子ども用小上がり1卓/1日平均客数=約50人