中食調査・東京冷製パスタトレンド 暑さが生んだ新グルメ
近年、日本の夏は尋常じゃない暑さだ。この酷暑のためか、ひんやりとした口当たりでサッと食べられる冷製パスタがここ数年、急速に進化。冷製パスタの定番、カッペリーニだけでなく、和の料理に近づけたもの、サラダとしての完成度を目指したものなど、さまざまにアレンジされた冷製パスタを多数見かけるようになった。今号では現在、東京の都心で人気を博している冷製パスタ商品を集め、そのトレンド事情を探った。
◆完成された正統派イタリアン 「トマト系カッペリーニ」タイプ
●自家製ドライトマトのカッペリーニ
うま味のあるジュレでひと味違う
ツルツルとしたカッペリーニの口当たりが心地よい。トマトカッペリーニは、さっぱりし過ぎてひと味足りないタイプも多い中、同品はニンニクをバランス良く利かせたうま味のあるジュレが秀逸。ルッコラのさわやかさもうれしい。
864円/西洋銀座 大丸東京店
内容量:258g
定番←★←→→ユニーク
お得感★★★
ハマリ度★★★★
●トマトとプロシュートのカッペリーニ
本格イタリアンの前菜そのまま
プロシュート、ルッコラ、削いだチーズ、ドライトマトという、イタリアン前菜のスター食材をランチパスタに勢揃いさせたぜいたくさ!マリネ風の味ではなく、コクのあるトマトソースをそのまま冷やしたような味もナイス。
670円/DEAN&DELUCA 品川店
内容量:251g
定番←←→★→ユニーク
お得感=★★★★★
ハマリ度=★★★★★
●冷製カッペリーニ冷たいトマトソース
パルメザンを散らしたトマトの存在感が◎
細いカッペリーニに濃いめに利かせたオリーブ油とバジルの香りが絡み、王道イタリアンの味わい。パルメザンチーズを振ったゴロゴロ大きめトマトの存在感が大きく、満足度も高い。トマトサラダ感覚で食べられる。
756円/ピッコロ ジオ 渋谷ヒカリエShinQs店
内容量:343g
定番←★←→→ユニーク
お得感=★★
ハマリ度=★★★
◆“暑い夏でもイケる味”を全力で追求 「ひんやりあっさり」タイプ
●シーフードサラダパスタ
人気サラダたっぷり乗せの安定感!
“サラダのRF1”らしく、サラダの魅力に重きを置いている。香ばし玉ネギドレッシングで味付け。サラダスパゲティの醍醐味がしっかり楽しめる。どっさりのった魚介は感涙モノ。
691円/RF1 大丸東京店
内容量:308g
定番←←★→→ユニーク
お得感=★★★★
ハマリ度=★★★★
●青じそ香る愛知県産しらすの冷製パスタ
誰もが納得の“日本の冷製パスタ”決定版
つるつるスイスイ食べさせてくれる、みじん切りオクラのネバネバが絶妙。シラスのひかえめなコクと青ジソの香り、ぜいたく感のあるイクラ、爽やかな白醤油ドレッシングの組み合わせで、どこか“日本の夏”を思わせる味のパスタにまとまっている。
399円/zen eashion 渋谷ヒカリエShinQs店
内容量:251g
定番←←→→★ユニーク
お得感=★★★★★
ハマリ度=★★★★
●まぐろのネバネバサラダパスタ
ミョウガとメカブが粋な和を演出
パスタの具材としてはなかなか斬新な中落ち風マグロとメカブ、ミョウガで丼物のような印象だが、白醤油ドレッシングをかけると冷製パスタとして見事にハマる。他の丼物もアレンジ次第で、個性派パスタになる事実に気づかされる。
464円/zen eashion 渋谷ヒカリエShinQs店
内容量:312g
定番←←→→★ユニーク
お得感=★★★★
ハマリ度=★★★
◆時代が求める“健康感” 「大盛り野菜」タイプ
●炙りベーコンと5種の豆のNY風チョップドパスタサラダ、鶏もも肉のグリルとサラダ緑黄色野菜のパスタサラダ
もりもり食べる元気丼系
まるで大盛り丼のような雰囲気で、元気に頬張りたくなる。ザクザク切ったインゲンやサイコロ状のカボチャ、ベーコン、鶏もも肉など、チョップドサラダ風の具材が優秀!昨今、急増しているサラダ専門店のたっぷりサラダランチとも十分勝負できるレベル。
各680円/ココリコ デリ 丸ビル店
炙りベーコンと5種の豆のNY風チョップドパスタサラダ内容量:494g
鶏もも肉のグリルとサラダ緑黄色野菜のパスタサラダ内容量:526g
定番←←→★→ユニーク
お得感=★★★★★
ハマリ度=★★★
●八百屋さんと作ったサラダパスタ(オレンジ)/(グリーン)
八百屋さんの誇り高きサラダパスタ
野菜によって細切り、コロコロ状など切り方を変えているのが見事!定評のあるピエトロドレッシングの味付けは、間違いのないおいしさ。リングイネ状のパスタを使用しているのがサラダパスタには少し珍しく、ドレッシングがよく絡む。王道のサラダパスタ、といっていい。
各646円/FOOD&TIME ISETAN 品川店
内容量:オレンジ327g、グリーン249g
定番←←→★→ユニーク
お得感=★★★★
ハマリ度=★★★
●フレッシュバジルとトマトジュレの冷製パスタ
コロコロ野菜のスパゲティサラダ風
冷製パスタでは定番のトマト&バジルだが、コロコロに切った野菜のどっさり感がイマ風で食べ応えあり。バジルの味とジュレがしっかりと絡んだ太めのスパゲティが、イタリアンの味わいながらもちょっぴり懐かしい。
539円/成城石井 新丸ビル店
内容量:411g
定番←★←→→ユニーク
お得感=★★★
ハマリ度=★★
◆見出=女子ウケ抜群のオシャレな美味 「バジル+魚介」タイプ
●サーモンとバジルのカッペリーニ
オリーブの香りふんだんでつまみにも最適
オリーブ油の香り全開で、大きめにスライスされたサーモンと一緒に味わうと絶妙。ワインのつまみとしても満足できる。バジルとオリーブ油の強めの風味が妙に後を引き、スイスイと食べさせる迫力がある。
864円/西洋銀座 大丸東京店
内容量:262g
定番←←→→★ユニーク
お得感=★★★★★
ハマリ度=★★★★
●ヤリイカとインゲンのジェノベーゼカッペリーニ
冷たいアサリのジュレがピカイチ
アサリのジュレにユズを利かせた、カッペリーニとしては意外性のあるおいしさ。冷たいアサリのうま味が素晴らしい。イカの歯触りがさわやか。
670円/DEAN&DELUCA 品川店
内容量:227g
定番←←→★→ユニーク
お得感=★★★★
ハマリ度=★★★★★
◆評:冷製パスタはオールシーズンの人気メニューになり得る!
冷製パスタの歴史は意外と浅く、その誕生には日本も関係している。1980年代、イタリアの三つ星シェフが日本を訪れた際に食べたざるそばのおいしさから、帰国後にキャビア添え冷製パスタを作ったのがその始まりだ。いわば日本の食文化の流れを汲む料理…とは言い過ぎかもしれないが、冷製パスタは現在、日本で独自の発展を遂げている。
パスタ料理は味付けや具材の自由度が高いことから、“冷たい”という条件が課せられてもさまざまなバリエーションが考えられるのだ。実際、都心で人気が高い冷製パスタの多彩さを見ても、今後、“変わり冷やし麺料理”のようなイメージで、より進化していく可能性を感じさせる。また、冷製パスタ誕生の原点に舞い戻る形で、ざるそばのように夏だけでなくオールシーズン楽しめるメニューとして定着していくのではないだろうか。
※本記事に記載されている価格はすべて「税込み価格です。
※内容量は購入商品を編集部で実測した数字です。
※本記事に記載されている商品は取材購入時の情報です。現在の販売状況は定かではありません。