72候を楽しむ漢方スローライフ(114)蟄虫戸を坏す
色づく葉が秋風にゆれて(秋分次候 9月28~10月2日頃)
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虫たちが土に潜り、冬支度を始める頃。暦の上では、ちょうど秋のまん中にあたる季節です。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、秋の彼岸を迎えるこの時期は急に空気が冷え込むことも。吹く風はひんやりと冷たく、平地の木々も色づきはじめ、これから少しずつ秋が深まっていきます。
●「足のつり」に悩んでいませんか?
身体に夏のダメージが残る9月。この時期は、ふくらはぎなどに「足のつり」が起こりやすくなります。漢方では、足のつりは「血(けつ)」の不足が主な要因の一つと考えます。「血」には、身体の筋肉や筋(筋膜や筋腱)に栄養と潤いを与え、健やかに保つ働きがあります。そのため、体内の血が充実してスムーズに巡っていれば、足がつりにくい体質につながります。
ところが、この時期は冷たい飲食などのダメージで胃腸の働きが落ちやすく、栄養不足で血を十分生み出せなくなることも。また、夏から続く暑さや睡眠不足でストレスが溜まり、血を蓄える「肝」の機能が低下することもあります。その結果、体内の血不足から足がつりやすくなってしまうのです。
●「血」をしっかり養う
足がつりにくい体質をつくる基本は、血を十分養うこと。腹八分目、温かい飲食などを心がけ、元気な胃腸で血の源となる栄養をしっかり取りましょう。肝はストレスに弱いため、室温を快適に保つ、入浴でリラックスするなど、イライラしない工夫も大切です。その他、発汗による潤いやミネラルの不足も足がつる要因となります。ミネラルを含む飲み物などでしっかり水分を補給しましょう。
食材は、血を養い肝の働きを高めるレバー、ほうれん草、にんじん、落花生、小松菜、黒豆などがおすすめです。
◆ハレの日薬膳レシピ:豚レバーの落花生あえ
レバー、ほうれん草、にんじん、落花生などでつりにくい体質づくりを
エネルギー101kcal/たんぱく質8.8g/塩0.8g(1人分)
<材料・2人分>
・豚レバー(薄切り)……60g
・ウスターソース……大さじ2
・ほうれん草(ゆでたもの)……60g
・にんじん……50g
・落花生(粉末)……大さじ2
<作り方>
(1)レバーは洗って、沸騰したお湯に入れて中火で5分加熱する。
(2)ポリ袋にウスターソースと温かい(1)を入れ、空気を抜いて10分以上おく。
(3)にんじんは4cmの細切りにしてゆで、ほうれん草も同じ長さに切る。
(4)レバーが冷めたら細切りにして(3)と落花生、レバーの漬け汁大さじ1を混ぜて器に盛る。
レシピ=奈良理香子(東京栄養士薬膳研究会)
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24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。