コメ需要一転縮小 家庭在庫増え買い控え
新型コロナウイルス感染拡大による家庭内食回帰で3~4月、コメ需要が盛り上がり、KSP-POSデータによると、前年比16.7%も拡大した。ただし4月中旬ごろから、家庭内在庫の増加による買い控えが始まり、大手コメ卸から「5月は前年割れ」という声も聞かれ、コメ離れに歯止めがかからない。(佐藤路登世)
週次データ(1028店舗)で最も盛り上がったのが、政府が学校休校要請を出した2月24~3月1日で、前週比57.2%増の5億0182万5328円。次に小池百合子東京都知事が、週末の外出自粛を要請した3月23~29日で、同50.3%増の4億6980万7666円に上った。
以後徐々に減少し、2月10~16日の3億3216万3233円を下回ったのが、4月27~5月3日(3億1440万4189円)で、4月後半がターニングポイントとなっている。直近の5月11~17日は3億0588万5067円で、需要が盛り上がる前の2月10~16日と比較しても、約8%減少している。
コメ卸の業績では、最大手の神明は4月単月で、外食を中心とした業務用の落ち込みもあり、前年並みにとどまった。関西圏2位の幸南食糧は3~4月、同10~15%増と好調だが、5月は前年の9割程度で推移している。
販売チャネルも変化している。消費者の節約志向の強まりに加え、チラシ自粛の影響を受け、食品スーパーより、EDLPを打ち出すディスカウント系が好調。加えて「マスクや消毒液効果で来店客数が増えたホームセンターやドラッグストアも伸長」(幸南食糧川西孝彦社長)とする一方、「ショッピングモールの営業自粛で、客数が減ったGMSの売上げが減少」(神明森竜哉常務)している。
健康系コメ関連商品も影響を受けている。最大手はくばくの主力商品「もち麦」は3~4月、前年並みをキープ。昨年が、もち麦の健康性に関するTV報道の影響で需要が盛り上がっただけに、反動減を回避した。
政府から全国の学校休校宣言が出される前との比較では、緊急事態宣言発令された時点で40%増、ゴールデンウイーク中は30%も増加した。ただし連休後は20%の減少に転じ、コメ同様に家庭内在庫がマーケットに重くのし掛かっている。