特集・デリバリーピザ 個性派店の戦略 名古屋「サンマリノ」
低価格戦争の最前線、愛知県名古屋市で一大旋風を巻き起こしているのが「サンマリノ」(FC店はサンナポリ)(詳細15面)だ。チェーン発足から一年間で、一八店舗(直営一八、FC四)を出店。売れ筋七〇〇円前後という破格値で展開している。
同チェーンを手掛けるのはコンピューターソフト企業の(株)あん。「デリバリーピザ業態には無駄な部分が多すぎる」と、最先端企業ならではの発想で効率性を重視。合理化を徹底してすべて価格に還元している。
例えば、一年目に一八店舗出店した理由も、米国から直接仕入れる割安な食材のロットがちょうど一八店舗分(一ヵ月)であったというダイナミックな効率論に基づいたもの。それだけで食材原価を相場より四〇%も圧縮できたという。また、素人でも容易にドウをのばせるピザプレス機を全店に配備して、メーキングスタッフを減らしながらも生産性をアップ。一枚のばす時間はわずかに三〇秒とか。
「低価格展開のメリットは、シェアを高く見込んだ商圏設定ができること。またヘビーユーザーが育つことだ」といってはばからない。同チェーンのシェアは、商圏半径二キロメートルで約三〇%。デリバリーピザ店の平均をはるかに上回る数字だ。しかもそのほとんどが月に二回はオーダーするヘビーユーザーだというから驚きだ。つまり回転率が勝負というわけだ。
今後も厨房の合理化、関税引下げに伴いさらなる値下げを目指す考え。当面は愛知県内に一〇〇店舗出店するのが目標だ。