アポなし!新業態チェック(160)「KOMEDA is □(コメダイズ)」東銀座店
●コメダが環境を意識した新業態 メニューは100%、植物由来の食材に特化
「お肉を休む日を、つくろう」というキャッチフレーズを打ち出した「コメダ珈琲店」の新業態、「KOMEDA is □」が東京・東銀座に出店した。同店は100%プラントベース(植物由来)のメニューに特化した「コメダ」ブランドの派生業態。環境負荷の少ない植物由来の食材を使用することで、近年、幅広い分野で取り組みが進められているSDGs(持続可能な開発目標)を意識した新業態として開発された。
メニューには、バーガーやパスタ、サンドイッチ、デザートなどのほか、アルコール類やおつまみなども用意されているが、すべて動物性の食材は使われていない。パスタの「大豆ミートのボロネーゼ」(1240円)や、アボカドを挟んだテリヤキソースの「アボ照り」(1280円)などバーガー類のパテには大豆ミートを使用。「soyクリームペンネグラタン」(1390円)や「soyクリームパスタ」(1340円)のクリームソースは豆乳ベース。デザートの「もっちりフルーツ」(1360円)、「もっちり抹茶」(1180円)といったパンケーキは米粉ブレンドだ。何と、トーストのバターも豆乳から作ったクリームなのだという。ドリンク類は通常の「コメダブレンド」(680円)のほか、「カフェオーツオーレ」(680円)、「豆乳ウインナーコーヒー」(750円)などがあり、ワインやビールの製造過程でも植物由来にこだわった。
内装にも自然素材や再生材などを取り入れ、注文は卓上の端末から行う。「コメダ」ブランドの将来を見据えた、先進的な取り組みが注目される。(価格は税込み)
★けんじの評価 ブランドの将来を見据え先進的な取り組み
SDGsとは、「Sustain-able Development Goals」の頭文字を取ったもので、日本では「持続可能な開発目標」と訳されている。サステイナブル(持続可能)な世界を実現するために、2016年から30年の間に達成することを目標とした「17のゴール(目標)」と、それに含まれる具体的な「169のターゲット(達成基準)」のことを指す。00年の国連ミレニアム・サミットで採択された「ミレニアム開発目標(MDGs)」が期限を迎え、15年の国連サミットで、さらに幅広い分野を含むSDGsが新たに採択された。
近年、多くの国が積極的にSDGsを推進しているのは、世界的な気候変動が現実化し、食糧生産などに大きな影響を及ぼし始めたことも大きい。海外進出を狙うような外食企業にとって、SDGsへの取り組みは決して単なるお題目ではなく、コメダが意識する理由も理解できる。だが今回の店舗に臨店して感じたのは、そうしたブランドのメッセージとメニューや店舗運営の間に、ややギャップがあるのではないか、という印象だった。
同店の店名「コメダイズ」には、メニューで使用される主要な食材「コメ・大豆」がダブルミーニングで隠されている。また、「□」の部分がブランクになっているのは、ここに「おいしい」とか「心地よい」など、同ブランドが提供するさまざまな魅力や価値を当てはめることができる、という意味だという。そんな企画書に書かれているようなアイデアと同店の出店ロケーションとの関係が、何やら気になってしまったのは、うがった見方なのだろうか。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「KOMEDA is □(コメダイズ)」東銀座店
開業=2020年7月15日/所在地=東京都中央区築地1-13-1 銀座松竹スクエア1階
編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/