余暇充実法(9)生きがいの充足
バブル崩壊後豊かな長寿社会の構築、ゆとりある生活づくりが話題になっている。とはいえ、現状の職場環境は「休暇をとりにくい職場の雰囲気」「休暇をとると周囲に迷惑がかかる」「仕事がたまり、後で忙しくなる」など、余暇に対しての阻害要因があるのも現実。
そもそも余暇とは。その定義としてフランス人の学者J・デュマズディエは「個人が職場や家庭、社会から課せられた業務から解放された時に、休息のため、気晴らしのため、あるいは利得とは無関係な知識や能力の養成、自発的な社会参加、自由な創造力の発揮のために、まったく隋意に行う活動の総体である」として、余暇の機能を“休息”“気晴らし”“自己開発”の三本柱としている。
日本人は余暇の過ごし方がヘタだといわれているが、しかし、今やわが国もゆとり先進国の仲間入りを果たすためには、自らの余暇生活を見直し、考え、開発し、労働と余暇のバランスをいかに維持していくかを、一人ひとりが真剣に考えなければならない。
忙しい中での余暇開発の第一歩としては(1)自らの工夫で主体的に行えるもの(2)自分を表現し、自信をもたらしてくれるもの(3)人的ネットワークを広め、人と心が触れあえるもの(4)人に役立ち、自らの成長をもたらすもの(5)長く続けられ飽きのこないもの‐‐以上のようなことを心がけることで、より充実した余暇生活が過ごせるようになる。
余暇を“余った暇”としてとらえるのではなく、もっと積極的にとらえ、人生全体を通してやりたいことがやれる自由な時間、生きがいを充足できる時間としてとらえることが、より意味があると思う。
(余暇生活開発士・中島重夫)