食品産業文化振興会、白鳥和生氏が講演 21年生活キーワードは「コンフォータブル・シフト」

白鳥和生氏

白鳥和生氏

 日本食糧新聞社が主催する食品産業文化振興会は7月30日、講師に日本経済新聞社編集総合編集センター・白鳥和生調査グループ次長を迎えて「流通と消費の今を読む~レジリエンス時代の課題と展望~」をテーマに東京・八丁堀の食情報館で開催した。コロナ禍で会合が制限される中、三密を考慮した講演・会場参加とWeb受講の2元体制で開催した。白鳥氏は、コロナ禍で起こったことについて1年目の2020年は「ピンチの連続で本当に必要なモノと不要なモノを分別したフィルターの年」と位置付け、2年目の21年は「当たり前をリセットして本質を考える絶好のチャンスととらえたチャレンジの年だ」とした。

 新型コロナウイルス感染症の影響でマーケット環境だけでなく消費者心理が大きく変わり、「コロナ前の2019年とコロナ禍20年の女性の心理として、10代では保守化が進み20代では情報に踊らされてうんざりとか社会貢献や自分磨きを行いたいという傾向が強くなっている」と日経デザイン調査を紹介した。そしてウィズコロナ時代では「ストレスを回避するのではなく、ストレスは常に存在すると認識してうまく立ち向かい、そして処理していくことが必要となり、柳のようにしなやかに対応する(=レジリエンス)ことが重要だ」とした。

 現在消費者心理として、「自分が本当に必要なことやものが何かを考えて暮らすことで、自分にとっての『豊かな時間』や『心のゆとり』を手に入れたいと願う生活者が増えている」と分析。21年の生活キーワードとして「コンフォータブル・シフト」を挙げ、「コントロールできないコロナ禍に見舞われた生活者はコントロールできる日常に安堵(あんど)を覚え、足元の暮らしにシンプルさ、心地よさを求めて、意味を持つ消費へとシフトしていく」ことを示唆した。(宇津木宏昌)

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