今、注目されるCS経営 「モスバーガー」シルバー社会にらむ
満足度を二年連続して向上させた企業中、JOMO、東京ディズニーランド、セブンイレブンを上回る伸び率となっているのがモスバーガーであり、九四年度は満足度四一・八(二年間で六・四ポイントアップ)となっている。
モスバーガーに関する満足度を構成する具体的な接点(満足要素)の評価を業態平均と比べると、評価が高い点、低い点ともに特徴が現れている。「店員の態度や言葉づかい・業務知識」「店舗のきれいさ」では目立っていない。「時間」「駐車場」「立地場所」といった迅速さ、手軽さは業界平均を下回っている。
これらの点では他社と競争せず、本来の「食」の部分に注力していることが理解、支持され、満足度が向上している要因となっている。(別図参照)
4月からマクドナルドがハンバーガー一三〇円など一部商品の値下げを断行。業界は大きなショックを受けながらも、とりあえず様子を見ている格好だが、モスバーガーは「戦略が幣社とは二極化して消費者に分かりやすくなった分有利」(広報)として、品質をさらに良くしてサービス強化を図るのみと言う。
ここで言うモスの「品質」とは、「おいしさと健康に裏づけされた商品戦略」である。ゴボウ、玄米、コンニャクなどを使ったユニークなメニュー開発はつとに知られるところ。リニューアル商品にはカロリー控えめのマヨネーズを使うなど素材の見直しも始まっている。
その一環として、現在独自で研究を進めているのが野菜の有機農法である。将来的には産直の新鮮有機野菜に持っていきたい考えだ。これらの背景にはシルバー社会到来がある。
客層は他FFチェーンと比べて幅が広く、利用平均年齢が高い。三五歳以上の利用客が一四%もいる。これは、これから増えるシルバー利用層のキャッチには有利だ。
九四年度の出店目標は一〇〇店舗だったが、七一店にとどまった。昨年11月から投資回転率を見直し、これまでの二・五倍を三倍に引き上げ、厳しくした結果である。
これから注力するのは限りなく小さい店舗でフルメニューを揃える「ハイパフォーマンスショップ」である。現在直営店での出店準備を始めており、この数ヵ月中にはハイパフォーマンス一号店が誕生する。
モスが二一世紀に向ける戦略は、健康産業をキーワードにスモール、シンプル、スペシャルの「スリーエス」である。
4月1日から従来のアイスジェバに替わり「ハウピアサンデー」を全国販売している。モスフードハワイの焼肉レストラン花水木でハワイアンプディングとして出していたローカルデザートが好評のため、このたびの導入となった。
「ハウピア」とは、ココナツの抽出液の意味。温かいココナツソースと冷たいバニラが口の中で溶け合う新感覚のデザート。絶妙な味のハーモニーが楽しめる。