アポなし!新業態チェック(170)「ラッキーロッキーチキン」武蔵小山店
●ロイヤルがフライドチキン新業態 テイクアウト、デリバリー主体、米国スタイルでバーガーやサラダも
ロイヤルグループのロイヤルフードサービスが、新業態「ラッキーロッキーチキン」を東京・品川の「武蔵小山商店街パルム」に出店した。同店は、米国の鶏料理「バターミルクフライドチキン」をメインに据えたファストフード店。ヨーグルトなどを加えたバターミルク液に国産の鶏むね肉を一晩漬け込み、スパイシーな衣で揚げたフライドチキンが売り物だ。
商店街のアーケード内にある店舗は12坪ほど。単品のチキンだけではなく、フライドチキン専門店としてバーガーやサラダなどにもアレンジして提供する。イートイン席もあるが、路面に向けて店頭に販売カウンターを設置した、テイクアウトとデリバリー中心の業態だ。
バターミルクフライドチキンは「オリジナル」(1ピース300円)と「麻辣チリペッパー」(同380円)の2種類。チキン1ピースとポテト(またはサラダ)、ドリンクをセットにした「ラッキーセット」(500円)のほか、チキン3ピース、5ピースなどのセットもある。バーガーは「オリジナル」(単品500円)と「麻辣チリペッパー」(同620円)、コルビージャックチーズを挟んだ「チーズ」(同650円)の3種類で、それぞれポテトとドリンクのセットがプラス300円。「フライドポテト」と「ビネグレットキャベツサラダ」はどちらも単品が280円。サラダにチキンをのせた「バターミルクフライドチキンサラダ」(500円)や、ドリンクには「オリジナルクラフトコーラ」(300円)などもある。
(すべて税込み価格)
★けんじの評価 シンプルな商品構成、勝算はあるのか
「武蔵小山商店街パルム」は、東京で最も長いといわれる全長800mの巨大なアーケード商店街だ。多くの経済メディアに取り上げられた全国でも有名な繁盛商店街は、コロナ禍の平日昼間でも人通りが絶えない。中央部分の数百mは、行き交う人を避けずに歩くのが困難なほどだ。同店はそのアーケードの南東の端、駅から最も遠いところ、つまり比較的通行客の少ないエリアに位置している。臨店したのはオープンから3ヵ月ほど経った平日だったが、それでも臨店時には途切れずに来店客が訪れていた。
しっかりとした衣を付けて揚げた肉厚なむね肉のフライドチキンは、唐揚げというよりも日本のチキンカツに近い感じ。筆者の個人的な好みからいうと、バーガーとして食べるよりも、単品チキンを惣菜のチキンカツのようにして食べる方がおいしいのではないかという気がする。オープン当初は「麻辣チリペッパー」という辛味のチキンはなく、バーガーにはエッグタルタルを挟んだ別のメニューがあった。サイドメニューはサラダとポテトのみ、バーガーに挟んだ野菜とサラダの野菜もまったく同じものだ。全体的に選択肢に乏しい構成のように感じるのだが、和風の唐揚げ業態と同じように、チキンの魅力だけで顧客を拡大していけるのだろうか。
同店の包材はすべてクラフト紙を使用しており、印刷もなくスタンプを押してロゴマークなどを表示している。ドリンクカップやストローも紙製だ。環境に配慮した店舗運営が必須の時代といえるのだろう。
●店舗情報
「ラッキーロッキーチキン」武蔵小山店
開業=2021年5月29日
所在地=東京都品川区荏原3-6-6 武蔵小山 パルム商店街奥
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
編集協力:株式会社イートワークス
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