タイで食品包装容器が急拡大 宅配浸透、輸出も高い伸び

大手銀行サイアム商業銀行が始めた食事宅配サービス「ロビンフッド」。顧客から手数料を徴取しない仕組みで急成長。包装容器の需要も伸ばした=ロビンフッドの販促ホームページから

大手銀行サイアム商業銀行が始めた食事宅配サービス「ロビンフッド」。顧客から手数料を徴取しない仕組みで急成長。包装容器の需要も伸ばした=ロビンフッドの販促ホームページから

食品などに使われる容器包装の市場で、東南アジア諸国連合(ASEAN)最大の生産輸出国タイ。昨年はコロナ禍による巣ごもり需要の拡大から、引き続き国内市場が堅調だったことに加え、輸出が急成長。2桁を超える高い伸び率となった。これを受けメーカー各社は増産や設備投資に乗り出すなど業界はにわかに活気づいており、企業買収も相次いだ。タイでは第4波となるオミクロン株の感染も今なお続いていることから、今年も増収増益が期待できるとしている。

どうしても長時間の滞在になりがちな外食を避け、自宅で食事を楽しむ人が増えたことから持ち帰りや宅配(デリバリー)が2年連続で急拡大した。昨年10月からは、食品や飲料、日用品など生活必需品の半額を政府が補助する消費支援策「コン・ラ・クラン」に食事や食品の宅配が加えられたこともあって、利用頻度はさらに上昇。民間のシンクタンクの試算で、21年中に全国で利用された食事などの宅配件数は19年1年間の3倍となる約1億2000万回を記録した。市場規模も500億バーツ(約1700億円)を突破した。

これに合わせて、宅配業者も事業を拡大。無料通話LINE(ライン)の傘下で食事の宅配サービスを展開するラインマン・ウォンナイは、タイで初めてとなる全77県制覇を達成。加盟する飲食店も全国で約5万店に膨れ上がった。二匹目のどじょうを狙おうと、大手銀行の一つサイアム商業銀行が「ロビンフッド」ブランドでサービスを始めたほか、大手通販サイトのショッピーなども相次いで参入。マレーシアの大手格安航空会社エアアジア・グループも近くタイ市場で事業を開始する。

宅配市場の拡大は、包装容器製品の輸出をも促した。業界団体によると、昨年1年間にタイから輸出された容器包装製品は推計33億~35億米ドル。一昨年に比べ12~13%の高い伸びを記録した。好調だったのがベトナムやインドネシアといったASEAN諸国で、前年からの伸びは20%を記録。最大の輸出相手先である米国市場も13%ほど拡大し、日本、中国向けも6~7%増加した。

こうしたことから、プラスチック製包装容器製造大手のタイ・プラスチック・インダストリアル(1994)では、今年の売上高の伸びが2桁を超すと読む。中でも食品向けの容器の伸びが大きく、早期に量産体制を整えていく考えだ。環境意識の高まりを背景に昨年半ばから本格化した紙製容器の引き合いも底堅く、この分野で先行者利益を確保していく意向だ。

紙製容器をめぐっては、製糖大手カセート・タイ・インターナショナル・シュガーの取組みが本格化し始めた。サトウキビの糖分を搾った残りかすであるバガスを原料したストローや紙製食器の生産能力は、現在1日当たり約50t。今年はこれを大幅に引き上げていく方針だ。飲食店や事業者の意識も高く、市場はさらに拡大すると読む。バガスの一部はバイオマス発電にも使われるなどコロナとエコを連動させる戦略を取る。

石油化学最大手のインドラマ・ベンチャーズは、ベトナムのPETボトル容器メーカー、ゴックギア・インダストリー・サービス・トレーディングの買収に乗り出した。ゴックギア社は在ホーチミンで、北部と南部に工場を持つ。飲料向けなどのPETボトルの年間生産量は約7万6000t。世界市場に向けた輸出拠点として育てていく考えだ。

プラスチック製容器メーカーのエカグローバルも300万米ドルを投じて生産ラインを増強した。年間の生産能力は従来に比べ14%もアップ。売上高も20%ほど前年を上回った。今後は環境配慮型の製品の開発にも力を入れる。リサイクル原料100%の新製品を投入していく計画だ。

(バンコク=ジャーナリスト・小堀晋一)

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