多忙でも読める外食ニュース

2023.12.04 538号 04面

 ●外食企業上位の業績売上げは増収増益

 外食大手各社が四半期決算を発表し、今春以降の業績を公開した。決算期の違いなどにより対象となる期間は少し異なるが、ゼンショーHD、日本マクドナルドHD、すかいらーくHD、コロワイド、トリドールHD、吉野家HD、ドトール・日レスHD、クリエイト・レストランツHD、松屋フーズHD、ロイヤルHD、日本KFCHDといった上位企業(決算期が大きく異なる企業は含まず)が、今年初め、あるいは今春からの営業で増収または増収増益となっている。

 解説=これらの企業の多くは前年同期比で10%以上の増収を果たしている。また、トリドールHDや王将フードサービスなどのように、上期としては過去最高の売上高を計上した企業も出た。外食市場は回復しつつあるといえるだろう。

 ●「ベッカーズ」閉店 37年間の歴史に幕

 JR東日本クロスステーションのフーズカンパニーが展開するバーガー店「ベッカーズ」が11月、千葉県のJR柏駅構内にある「ベッカーズ柏店」の閉店によって37年間のブランドの歴史に幕を閉じた。同ブランドは1986年、東京の「新宿三井ビルディング」に1号店を出店し、最盛期にはJR駅を中心に約40店舗まで拡大したが大手チェーンの一角に立つことはできなかった。同社フードカンパニーは、「いろり庵きらく」や「ベックスコーヒーショップ」などを展開している。

 解説=「ベッカーズ」は、ロイヤルホストを展開していたロイヤル(当時)が創業したブランド。1990年代にJR東日本のグループに買収され、駅構内を中心に展開したが、後発の「ベックス」に主力ブランドの座を明け渡した。

 ●吉野家子会社、広島に韓国ラーメン新業態

 吉野家ホールディングスのグループであるウィズリンクが、新業態の韓国ラーメン専門店「バリウマ」を広島・呉市にオープンした。鶏料理のタッカンマリや牛骨スープのソルロンタンといった韓国料理と日本のラーメンを組み合わせ、独自のメニューを開発。ほかに、キムチチャーハンやチヂミ、ホットクなど、韓国料理を中心にしたサイドメニューやドリンクも用意している。ウィズリンクは日本国内のほか、東南アジアを中心とした海外にフランチャイズ店舗を70店舗以上展開している。

 解説=ウィズリンクは1992年に広島で創業。2019年にM&Aにより吉野家ホールディングスの子会社となった。今回の店舗は、同社が展開するラーメンの主力ブランド「ばり〓(ばりうま)」の既存店舗を業態転換したもの。

 ●銀座ライオンの新業態 セルフの小型ビヤバー

 サッポロホールディングス傘下のサッポロライオンが、東京・新橋に新業態「体験型ビヤスタンドL LAB(エルラボ)」をオープンした。全席スタンディングのみで30席という小型店だが、来店客が自分でグラスに生ビールを注ぐことができる「体験型ビヤバー」。ビールは、「ヱビス プレミアムブラック」「琥珀ヱビス プレミアムアンバー」「SORACHI1984」「白穂乃香」「エーデルピルス」の5種類があり、形状で風味が変わるグラスも3種類あるうちから選べる。

 解説=かつて、生ビールはグラスへの注ぎ方が味の決め手とされ、生ビールの味を売り物にする飲食店では熟練のスタッフがいることが重要とされた。しかし時代の変化により、そうした基準も過去のものとなっていくのかもしれない。

 ●「ベーグル&ベーグル」と「Kiri」がコラボ

 JFLAホールディングスの子会社であるアルテゴは、同社が展開するベーグル専門店「ベーグル&ベーグル」とクリームチーズのトップブランド「Kiri(キリ)」がコラボレーションした「ベーグル&ベーグル×キリカフェ」をオープン。フランスに本社を持ち、日本ではベルジャポンが発売する「Kiri」は、今年が日本に上陸して40周年にあたる。「ベーグル&ベーグル」は1997年の創業。国内に約30店舗を展開するほか、商業施設などに期間限定の店舗を出店している。

 解説=同店は、既存の「ベーグル&ベーグル」恵比寿店をリニューアルしたもの。ベーグルと組み合わせた食べ方を提案するクリームチーズに特化した店舗として、他社ブランドとのコラボ店でありながら常設のカフェとして営業する。

 ●「トゥーストゥース」神戸に新業態

 神戸を拠点に多業態を展開するポトマックは、主力ブランド「トゥーストゥース」の新業態「クレープ&ガレット トゥーストゥース」を神戸・三宮に出店。クレープとガレットを、紅茶やシードルなどに合わせて提供する。

 ●祇園辻利、45年ぶり新ブランド出店

 宇治茶とスイーツの「茶寮都路里」などを展開する祇園辻利が、45年ぶりとなる新ブランドの店舗「ぶぶる」を京都駅の商業ゾーンに出店。抹茶ではなく、もみ茶をメインに据えたフードやドリンク、スイーツなどを提供する。

 ●サイゼリヤ発表 サラダにカエル混入

 サイゼリヤは、10月に東京と神奈川の3店舗で販売したサラダにカエルが混入していたと発表した。店舗ではなく、神奈川県の自社工場で加工したレタスに混入していた可能性が高いという。同社はお詫びと共に、再発防止策を発表している。

 ●愛知の喫茶チェーン、ドライブスルー導入

 愛知県の喫茶チェーン「カフェヨシノ」がドライブスルー付きの新店を出店した。モバイル決済にも対応し、東海地方では標準的な喫茶店の「モーニング」メニューがドライブスルーで購入できる。同社は同店を含めて県内に17店舗を展開している。

 ●南船橋ららテラスにタイ最大のカフェ出店

 千葉県のJR南船橋駅に直結した小型の商業施設「ららテラスTOKYO-BAY」がオープン。テナント数は全36店舗だが、タイ国内で3000店舗以上を展開するという大規模カフェチェーン「Cafe Amazon」が関東に初出店する。

 ●ワタミのテイクアウト 新業態が築地場外に

 ワタミが、東京・築地の場外市場にテイクアウト専門の新業態「築地 牛武」を出店。高品質な和牛を使った串焼きや肉寿司、バーガーなどを販売する。インバウンド需要の再拡大を受け、外国人観光客に向けたアンテナショップとして位置付ける。

 ●トリキバーガー 渋谷2号店が撤退

 鳥貴族ホールディングスのチキンバーガーブランド「トリキバーガー」の渋谷井の頭通り店が閉店。同ブランドは2021年、東京・大井町に1号店を出店し、翌年2号店として渋谷店をオープンした。今夏には京都にフードコート店舗を出店している。

 ●ベーカリー沢村、バーにもなる新店

 「THE CITY BAKERY」で知られるフォンスが、「沢村」ブランドの新業態「ベーカリーラウンジ沢村」を東京・中目黒にオープン。夜は酒類を提供するバーラウンジとして営業する。近隣にあったベーカリー&カフェを移転リニューアルした。

 ●アダストリア、外食子会社を清算

 ファッション専門店チェーン大手のアダストリアが、2017年に設立した外食子会社アダストリアイートクリエイションズを清算。すでに事業からは撤退し、6月から清算手続きに入っていた。アダストリアは昨年、株式公開買付によりゼットンの親会社となっている。

 ●表参道駅フードコートリニューアル

 東京メトロ表参道駅構内の商業施設「エチカ表参道」で、クリエイト・レストランツが各店舗の運営を行うフードコート「マルシェ ドゥ メトロ」がリニューアル。同社の人気ブランド「ミスターファーマー」やショートパスタ専門店、ハワイアンなどが新しく出店。

 編集協力:株式会社EATWORKS(入江直之、岡野恵子)

 http://www.eatworks.com/

 ※記事は一部の固有名詞を省略

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