食品経営者フォーラム、イオンベーカリー・近澤会長講演 使命は心理的安心感
日本食糧新聞社主催の食品経営者フォーラムが11月23日に開催され、イオンベーカリーの近澤靖英代表取締役会長が「食品安全・サプライチェーンの危機対応-小売業の社会的責任-」をテーマに講演した。「小売業でさまざまなリスクに対応する際、まずお客さまに心理的な安心感も持ってもらうこと、これはわれわれ小売業の使命です。そして地域のライフラインとしての役割をこれからも務めたい」と語った。
近澤会長が経験した数々の食品安全リスクとその対応について説明。特にBSEの事例について、各種団体が安全宣言を出せとの大合唱の中でトレーサビリティーと全頭検査の重要性を説き実施することで、顧客の信頼回復につながったとした。その上で「その中で偽装事件が発生、農林水産省と厚生労働省と協力し法制度化を進め、それがトレーサビリティー法になっている。実際の取り締まりになると偽装防止となるが、本質は安全性の確保だ」と説明。また、東日本大震災の際には、放射能物質に汚染された可能性があるものだけを止めて、他の牛肉は販売されたことに触れ、これがトレーサビリティーの本質であると強調した。
企業としては客観的な安全評価を行い、100%安全を目指し続ける努力をする一方で、小売業として安全性を確保し続けるという普段の取組みを伝え続けることが、地域のライフラインたる小売業の重要な姿勢だと語った。(阿久津裕史)