アポなし!新業態チェック(198)「ベーカリーラウンジ沢村」中目黒

2024.02.05 540号 11面

 ●フォンス、「沢村」ブランドの新業態 軽井沢から自家焙煎コーヒー直送、夕方からはアルコール類も提供

 米国発祥のベーカリー「THE CITY BAKERY」や、そば「川上庵」、和食の「酢重正之」など、幅広い業態を展開するフォンスが昨年11月、ベーカリー系ブランド「沢村」の新業態「ベーカリーラウンジ沢村」を東京・中目黒に出店した。

 同店は、近隣にあった「ベーカリー&カフェ 沢村」が移転し、新業態として出店したもの。同社は昨年、軽井沢に「沢村」ブランドのロースタリー(コーヒー焙煎所)を設けたが、そこで自家焙煎したコーヒーを軽井沢から配送し、バリスタがハンドドリップで入れたコーヒーを提供する。昼間は食事のできるベーカリーレストランとして営業し、夕方以降はアルコール類と小皿料理などを揃えた「ベーカリーでありながらホテルのラウンジのような」店となる、「沢村」ブランドの新しいスタイルだ。

 イートインのメニューには、「沢村ロースタリーブレンド」(510円)などのコーヒーのほか、ビール、ワイン、ジンといったアルコール類が揃う。冷蔵ケースに並ぶ「雅山麓タマゴサンド」(420円)のようなサンドイッチやパニーニ、サラダなどに加えて、キッチンで調理される「沢村ブランチプレート」(1980円)、「沢村バーガープレート」(1800円)などのブランチ、朝食では「厚切りトースト+ゆでたまご」(770円)なども提供する。また、軽井沢でしか販売していなかった「コーヒーカヌレ」(320円)などのスイーツも都内に初登場した。

 (価格は税抜き。価格は変更になっている場合があります)

 ★けんじの評価:規模の拡大求めず、独自の展開を探る

 同店は、中目黒では誰もが知るカステラ「福砂屋」東京支店の並びにある。店内に入ると真正面が販売カウンターで、その手前がパンなどを陳列するベーカリーのスペースだ。向かって左側にはゆったりとしたソファ席があり、右側にはダイニング風のテーブル席、奥に向かってバーカウンターとボックス席が配置されている。確かに、単なるベーカリーカフェとは少し異なった空間だ。

 フォンスの本社があるのは長野県の軽井沢。軽井沢は、2000年に同社が創業ブランド「川上庵」の本店を出店した場所であり、その後、軽井沢や鎌倉など、主にハイクラスな客層のいる地域で業態を確立し、都市部などにそのブランドを展開する手法で全国に店舗を広げた。

 同社は創業から20年以上になるが、店舗数は物販店も含めて70店舗ほど。これは、規模の拡大を至上命題とする企業であれば決して成功とはいえないかもしれない。しかし、共同経営者である小山正氏と吉井拓也氏の二人は、そうした成長とは違った将来を見据えているようだ。同社は食品販売やギャラリー、イベントスペースなど、さまざまな分野の事業を手掛けており、そうした活動もまたトータルで同社の感度を高めているのだろうと感じる。20年以上もこうした経営体制を続けているということは、二人の創業者が同じ価値観をしっかりと共有しているのだろう。

 同社が打ち出すさまざまな施策は、飲食業にとどまらず、多くの企業経営者にとっていろいろな意味で参考になるに違いない。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「ベーカリーラウンジ沢村」中目黒

 開業=2023年11月1日/所在地=東京都目黒区青葉台1-13-6 1階

 ●編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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