アレルゲンの卵 不使用ビジネスは広がるか

卵不使用をうたう外食店も増え始めてきた

卵ほど面白い食材はほかにないのではないか、と思っている。生の状態では液体だが、加熱されると固体に変化する。調理法によってとろとろにもなりふわふわにも、硬くもなる。利用度も多彩で前菜からドリンク、デザート、菓子類に至るすべてのカテゴリーに合わせられ、主役でもあり脇役にもなる。このような利便性に加えて、栄養価も高く価格帯もリーズナブルだ。そのため卵を使用した料理は数多くあり、シーンや人を選ばず食べる場も多いのだが、アレルギーがある人も多い。苦手な人にとっては、使用頻度が高い分、不便を感じることも多いだろう。

そのような中、卵不使用の料理を出す店が増えてきている。利用価値が高い食材をあえて使わないビジネスだが、今後も広がりをみせるだろうか。

卵がないふわふわオムライスに評判

卵を使わないふわふわのオムライス(画像はイメージ)

“ヘルシージャンクフード”をコンセプトに日本発のプラントベースフードブランドとして東京都内を中心に展開しているレストラン「2foods」では、動物性食品不使用のオムライスを提供している。動物性食品を使っていないのだから、当然だが卵も不使用となっている。オムライスにとって主役の卵がないのにふわふわでとろける食感を維持していて評判が良い。

大手メーカーのカゴメは、プラントベースのレトルト商品をシリーズ化して販売している。その中の1つ「Ever Egg」は、2foodsと共同開発した卵不使用のとろとろ卵を再現した商品で、オムライスや親子丼などさまざまな料理に利用が可能だ。白インゲン豆のペーストを用いて、野菜半熟化製法によりとろとろした食感と卵の色目を生み出している。

大手ハンバーガーチェーンのモスバーガーは、低アレルゲンメニューとして7大アレルゲンの特定原材料(*)を不使用とするポークサンドとポークロールを提供する。バンズパンやバーガーのパテに通常は入っている卵が入らない米粉100%のバンズやポークパテを使用している。

(*)食品表示基準で定められる品目として、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の8品目がある。モスバーガーのホームページでは、「卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生を原材料に使用しない」と7品目を挙げており、くるみは記載されていない。

東京の曙橋にあるレストラン「Linio」では、有機野菜を使用してアレルゲン品目を極力抑えたメニューをコンセプトに数多くの料理を提供している。豆乳を用いた卵不使用のマヨネーズをサラダには提供し、卵不使用スイーツなども提供している。

見た目、味、出来栄えが好奇心そそる

卵は表示義務食品としてアレルゲン食品の1つとされているが、動物性食品でもあるためビーガンも食べない。そのため、卵アレルギーの人は低アレルゲン食品のレストラン以外にもビーガン料理を出す店に行けば卵抜きのメニューが食べられるので、近年は以前より店を探しやすいだろう。

オムライスやマヨネーズなど卵が主役のメニューを卵抜きで作る場合、調理工程が通常のオムライスより増加する。原価が高くなることも多い。汎用性や利便性が高く安価な卵をあえて避けて経費のかかる代替料理を提供する背景にあるのは、アレルギー保持の人の増加だ。さらにはインバウンドに多いビーガンへの需要拡大への期待もあるだろう。アレルギーの人やビーガンの人は自分に適した飲食店や商品を探すので、一定層に認知が広がりやすいメリットもあるし認知してもらいやすい。見た目も味も卵不使用とは思えない出来栄え商品が多いため、卵を食べる人にとっても好奇心をそそられるメニューともなる。

卵代替の食品は見た目、味、出来栄えが大事

代替品の利便性とコスト抑制の実現次第

最近は、卵は食べ過ぎなければコレステロールを気にしなくて良いという見解が国からも発表されてはいるが、まだ世間的には卵は高コレステロールのイメージが強い。卵不使用食品は、低コレステロールという観点からもアピールできそうだ。また、卵はうまみも強いため、ハンバーグやカレーライス、サラダなどメニューに追加するだけで料理全体にまろやかさやまとまりをくれる。さらに、衣に使用したり、食材同士の「つなぎ」の役目になったり利用価値が高い。

こうした利用にも便利な代替品がコストを抑えて実現していけば、「卵不使用」食品の市場はかなり広がるのではないだろうか。(食の総合コンサルタント小倉朋子)

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