余暇の上手な利用法 余暇歴のチェック・余暇欲求を探る

1995.10.10 1号 14面

最近ゆとりと生き甲斐のある豊かな生活」が盛んに謳われている。私たも日本人は労働重視のの構えが強く、遊びが下手だ、余暇の過ごし方が下手だといわれている。しかし、過去に茶道や歌舞伎、能、カルタや将棋など日本特有の余暇文化を創ってきた。そこで、仕事が不規則だったり、時間的余裕がないなかでも、各自の努力でもっとすばらしい余暇生活、ゆとりを創造することができると思います。

しかし、個人が余暇活動を発見するというのは、簡単なことのように思えますが、心から打ち込め、継続できる活動を見つけることはそう簡単なことではありません。

「何かやりたいのですが、なにをしていいのかわかりません」「ばくぜんと余暇を過ごしていますが、どうも充実感がありません」という方々が多いのが現実です。

このような方々に自分の余暇を充実させるノウハウをしっかりと、つかんでほしい。

(1)余暇歴のチェック

余暇を充実するには、まず自分を知ることだと思う。自分のあり方を知る方法として「自分の余暇歴を振り返る」ことをおすすめします。幼い頃から今日までの、自分の遊び、余暇活動、余暇生活を振り返ってみましょう。

○幼児期の余暇

おはじき、あやとり、お手玉、鬼ごっこ、かくれんぼ、ままごと、カンけり、ゴムとび、虫捕り、川遊び等

なつかしい子供時代のことを考えながら「今思うと、自分はこんな子供だったんだなあ」と自分を客観的に見ることができるはずです。それが、今のあなたの性格や余暇の過ごし方に影響を及ばしているかもしれません。

○青少年期の余暇

(1)スポーツ-水泳、野球、バレーボール、テニス、スキー

(2)音楽-ピアノ、ギター、ハーモニカ、レコード鑑賞

(3)稽古ごと-絵画、書道、バレエ、生け花、茶道

(4)野外活動-キャンプ、ハイキング、サイクリング、釣り

(5)趣味、ゲーム-トランプ、プラモデル、映画鑑賞、収集

(6)集団活動-子供会、ボーイ・ガールスカウト、少年団

この時代に行った活動には、俗に言う「からだで覚えている」ということがあります。今は御無沙汰していても、再開すればすぐに昔の感覚が呼び戻ってくると思います。

その中に、再開したい活動、継続したい活動があるかどうかをチェックしてください。

その後のことなど自分の「余暇歴」を振り返って感じたことを簡条書きで書いてみてください。「余暇歴」をチェックして自分の過去を振り返りながら、今までに自分の体験したことのある余暇活動をすべてチェックしてみましょう。どの程度深く行ったものなのか、どれぐらいの回数体験したものなのかを考えながら、具体的な余暇活動種目を一つひとつについて振り返ってみましょう。この結果から、自分の過去の余暇活動体験がどのジャンルに集中しているのか、逆に欠けているのかなどがわかってくると思います。

(2)余暇欲求を探る

「余暇歴」をふまえたうえで、次に自分はどのような余暇活動をやりたいのかを6つのジャンルに分け余暇欲求をより鮮明にしていただきたい。

○芸術・文化活動-書いたり、描いたり、創ったり、集めたり、演じたりといった「表現を遊ぶ・楽しむ・活動」

○スポーツ・ゲーム活動-個人で走ったり、泳いだりして競ったり、対人やチームで力や技を競うなどの「競って遊ぶ活動」

○野外活動-自然の中で行動したり感じたり、自然の生活を体験したり、自然の物を取ったり、育てたりなど「自然と遊ぶ活動」

○学習活動-歴史、社会、自然、人間、言葉、経済などさまざまな知識をえることで楽しみを感じる「知を遊ぶ・知る喜び・活動」

○社交活動-人と人が集いあったり、自分の意志をお互いに伝えあったりという「人と遊ぶ活動」

○社会的活動-他の人を助けたり、世話をしたり、教えたり、相談を受けたりなどの「人のためになる活動」

このようにして、余暇生活のなかで何をしたいかを見極めることが必要だと思います。

「余暇歴」をチェックし、「余暇欲求」を探ることで余暇活動を再認識していただき、その活動を始めることによって、自分自身の考え方や興味・関心に変化が生まれ、行動範囲が広がり、生活時間にリズムが生まれ、毎日の生活が生き生きと充実したものになると思います。それは、「ゆとりと生き甲斐のある豊かな生活」にもつながっていくと思います。

(余暇生活開発士・中島重夫)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら