羊子先生の薬食同源:頻尿 原因は腎の気が足りないこと

2004.02.10 103号 16面

寒くなるとトイレが近くなる、行ってもサッパリせず残尿感がある‐‐という声を聞きます。でも頻尿は寒さに伴うものだけでなく、根本的に「腎」の気の足りなさが原因であることが多いのです。

(指導/中医師 張立也さん)

頻尿の直接的な原因は、生理構造上、男性と女性で違います。

女性は骨盤筋がもともと弱く、出産などを経て収縮力がさらに弱くなる場合があります。若い女性の膀胱炎的なものは、生理中に子宮が膨らむことで尿管が圧迫された結果が多いです。男性の場合は、加齢によって前立腺が肥大し、精嚢との間で挟まれた尿管が圧迫されてということがあります。

しかし出産経験のある女性全員、高齢の男性全員にこういった現象が起こるわけではないですね。物理的な圧迫を受けてもみんなが同じように反応するわけではないのです。中医学ではここで、「腎気虚」の考え方が登場します。膀胱は尿をただ貯蔵するだけの器官で、尿を外に出す、貯蔵するという命令を出すのは「腎」と考えます。

男性でも女性でも、尿がコントロールできずに漏れる、残尿感があるなどのトラブルは、腎の働きが衰える、命令が伝達しにくくなるから起こります。腎気は腎の働きのことで、エネルギーのようなものです。腎気が充実していれば前立腺が肥大しても、機能的なトラブルは起こらないのです。

それでは腎を補うメニューをご紹介しましょう。毎朝食べれば身体が変わります。腎を元気にすれば身体全体が若々しく、男性は男らしく、女性は女らしく、魅力的になりますよ。

◆補腎の漢方薬『至宝三鞭丸』

補腎の漢方薬としては、『至宝三鞭丸』がお勧めです。

オットセイや車エビなど貴重な動物性の生薬がたくさん含まれた、究極の強壮剤です。さらに身体を温める作用があるので、冬場の頻尿に最適です。

◇注意して!違うタイプの頻尿も

冷えがある、だるいなどの症状がある人は右の対処法でいいのですが、逆に太り気味で高血圧、顔が赤いタイプの頻尿の人は、また原因が違います。水分過多なので「気を補う」でなく「水分を出す」ことが必要です。ウリ科の冬瓜・スイカや小豆などの食材で身体を改善しましょう。

◇腎を補う元気粥を毎朝召し上がれ

赤身の豊富な豚肉・白キクラゲ・サツマイモを細切りにして、クコの実・ハトムギ・コメと一緒に炊きます。どれも腎を元気にする食材です。おコメから炊き上げるとより豊かに素材の滋味をいただけます。最後に塩で味を調えます。

●羊子(ようこ)先生のプロフィル

出身は、ヒツジが食べると痩せてしまうという不思議なお茶「柳茶」のふるさと中国・チベット。北京で中医学(中国漢方)を勉強したのち渡米、ホリスティック栄養学を学ぶ。ダイエット指導のスペシャリスト。

(取材協力=アイニンファンファン(東京・麹町)電話03・5210・3587)

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