おコメ風土記:鹿児島・新米コシヒカリ編 新米は、東を向いて笑って食す

2005.09.10 122号 2面

昔、秦の始皇帝は不老長寿の食材を求めて、はるか日本の地まで使者を使わしたという。いまの私たちにとって「健康長寿の食」とは何か。厚労・農水省発表の「食事バランスガイド」では、「ご飯などの主食を、肉などの主菜の倍以上の量を目安にとること」が掲げられた。食の欧米化の進行で、私たちはご飯を食べる量がとても少なくなった。それが多くの生活習慣病を招いていたのだ。21世紀の日本人にとっての「健康長寿の食」は米食文化の復活にあった。いいおコメ文化を求めて…私たちは旅に出た。

(健康長寿・米食文化の旅 取材班)

「初物を食べると75日長生きする」といわれる。それでは日本で一番早く穫れる「新米」を食べに行こうと訪れたのは、鹿児島県だ。この地では種子島産の新米コシヒカリが8月中に収穫される。

姶良郡の妙見温泉郷。「食とは土地を食べることなり」として、「忘れの里 雅叙苑」では、自家農園で穫れた野菜や卵を土地の素朴な味付けで供する。そしてきょうは新米の膳だ。例えば卵。宿の外、往来をコッコと行き来している鶏が今朝産んだもの。とりわけの珍味は、季節で替わる摘み草の天ぷら。神々の食事として、季節は大地にさまざまな美味を作るように命じた。私たちもそのお裾分けをいただこう。

朝ご飯は早くからへっつい(かまど)で炊くという。「朝起きて、コンコンコン…という音が台所からして。まずお味噌汁の匂いがプーンとして。しばらくするとパチパチとご飯が炊ける音。香ばしい匂いが漂うとなぜか急にお腹がすくという…。それが日本人のご馳走なんですね」(「忘れの里」主人・田島建夫さん)。

「“炊く”という言葉はあらゆる食材の中で、おコメにしか使いませんね。煮る、蒸す、焼く(煎る)…これらの行程を全部含めて『炊く』と表現します。あの匂いはご飯が炊き上がる時、“焼く”時に起こります。米粒の周りの水分がなくなってから漂う。だから熱いかまどで炊けばより香ばしい」(コメ研究家・雑賀慶二さん)。

新米はやはりみずみずしい。米粒の細胞が柔らかいせいか、粘りが強い。本当にご馳走だ。東を向いて笑って食す。75日、長生きできそうだ。

◆樫の木の灰で作る「あくまき」

当地にはまた「灰巻き(あくまき)」という独特のもち米メニューがある。樫の木か大豆の殻で作った灰の汁に一晩もち米を漬け込み、今年の孟宋竹の皮で包み、シュロの葉のヒモでしばる。これを大鍋で煮る。もとは西郷隆盛軍の携帯食に使われただけあって保存がきく。

出来上がりのお餅は飴色、ついたわけでもないのに米粒の感じが残らず、郷愁と食欲をそそる味がする。

◆知られていない『コメの世界』(1)

私は半世紀以上、コメの研究にかかわり、コメをこよなく愛してきた一研究者。知れば知るほど奥が深いコメの世界を皆さんにもお話ししていきたい。

さて皆さんは、どのような基準でコメの品定めをしているのだろうか。野菜や果物、魚ならば、外観から良し悪しを判断できる。けれどコメの場合、「砕粒」や「しらた」の混じり具合もよほどのことでなければ食味とは関係がない。結局は炊いて食べてみなければ…という世界だ。一般的にはコシヒカリ、秋田こまちなどの品種名や、新潟・魚沼など産地を目安としているようだ。

たしかにコシヒカリや秋田こまちは美味なコメが多い品種であることは否定しない。しかし、それ以外にも大変美味な品種もないわけではない。問題なのは同じ品種、同じ産地であっても、食味が良いものもあれば、良くないものもあるということ。収穫後、乾燥・保管・精米など、皆さんの手に渡るまでの工程の一つ一つが食味を左右していることも意外と知られていない。従って、産地や品種だけでコメの品定めをしようとするのは空しいことといわねばならない。

こうした状況を許してきたのは、何ら手を加えない農産物のままの、大根やトマトと同等にコメを扱ってきたためと思われる。コメは一般農産物としてではなく、加工食品として扱うべきではないのか。マヨネーズやトマトケチャップを購入する時、卵やトマトの産地を問題にする人はいない。

いま、コメの新しい秩序づくりが求められているのではないか。

(コメ研究家・雑賀慶二)

◆私のLOHAS(ロハス)食

「無洗米」はいままでとぎ洗いして家庭で取っていた肌ヌカを、あらかじめ工場で取り除いたおコメのこと。中でもBG無洗米は、水やタピオカを加える他の製法と異なり、肌ヌカの粘着力を利用してはがし取る製法で、工場でも排水が全く出ず、川や海を汚すことはありません。家庭でもとぎ汁を流さなくて済みます。コメのとぎ汁の河川への影響は事のほか大きい。下水処理場が完備されている地域では、BOD・CODなどの汚濁物質はほとんど除去できますが、リンと窒素は完全に取り除くことはできず、海や川に流されています。これが植物性プランクトンのえさになり、赤潮やアオコ、ヘドロの堆積など、水質汚染の原因になるのです。

普通のコメをBG無洗米に替えることは、そのまま地球環境を考える生活者になることになります。

●あなたが地球や家族のために行っているLOHASな食習慣、台所習慣を募集します。皆さんにもお伝えしたいヒットアイデアはこのコーナーに掲載。BG無洗米を10キロプレゼント。「私のLOHAS食習慣」として120字以内にまとめて下さい。応募要領は7面参照。

※LOHAS(ロハス)とは、「Lifestyles of Health and Sustainability」の略語で、「健康と環境の持続を志向するライフスタイル」のこと。商品を選ぶ時、エコロジーや省エネルギーを選択の基準に持つこともその一つ。BG無洗米をチョイスすることは、LOHASなライフスタイルです。

(株)東洋精米機製作所 http://www.toyoseimaiki.co.jp/

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