フレンチパラドックスのナゾ なぜ魚を食べないのにタウリンが?
京都大学人間環境学研究科大学院教授‐家森幸男氏らのWHO(世界保健機関)の世界健康調査隊が、フランスのオルレアンという町で調査を実施したのは一九九一年。オルレアンといえば、あの百年戦争のヒロイン、ジャンヌ・ダルクの出身地として有名な場所だ。パリから列車で一時間、なお田舎町の面影が残る素朴な町という。ここで調査隊が証明したかった事実は、フランス人はなぜソースたっぷり、油こってりでたくさんの脂肪分を摂っているにもかかわらず心筋梗塞による死亡率が少ないか、また極端に肥満した人が少ないかの根拠だ。さてそれでどういう現象がつきとめられたか。調査対象のこのオルレアンの人たちの尿から日本人と同じくらいのタウリンという成分が確認されたのだ。タウリンをたくさん摂っていればコレステロールの代謝を高めるので心筋梗塞が少ないということは、実験的には分かってきている。だが、これはおもに魚に多く含まれているもの。だから魚をたくさん食べる日本人の場合は当たり前だが、内陸部のオルレアンではなぜ?という疑問が生まれる。そこで調査隊は聞き取り調査を開始していったのだ。