たばこで煙る会議室。白いワイシャツがずらり長丸テーブルを取り囲む。どうやらつまらぬ話が長引いているらしく、みんなイライラがつのっているご様子。そんな時、お茶でもいれようと思ったのか一人のＯＬが席を立つ。すると待ってましたとばかり、何も聞かれもしないのにみんな口々に勝手なオーダーを言い始めたから、さあ大変。

「オレ、肉ね」まずそう言ったのは、スーツ姿のなんとライオン。はぁ？　なんだこりゃ…どうやらこの会社、動物が社員にいるらしい。と思っているうちに、次々と会議出席者のわがままな注文は続く。

「紙」とヤギ、「バナナね」とサル、「草」とウシ、そして極めつけは最後、魚が「しおみず」とオーダーする。（真面目顔が超おかしい）。

すべてのわがままが出そろったところでＯＬの顔が大写しになる。白目をむいて思いッきり「フゥーーッ」。言いたい放題言いやがってとばかりに大きな大きなため息をつく。

ビタミン剤やお菓子など、お疲れＯＬを題材にしたＣＭは他にもとっても多い。が、あまりにもリアルにイライラの現場を再現されると見てるだけで疲れてしまう。

ところがこのピップ内服液のＣＭで描かれるのは、とにかくハチャメチャで超現実的な世界。会社のおじさんたちのワガママもここまでされるとあとは笑いとばすしかない、と逆に爽快感すら感じられる。さすが、ＣＭに定価のある同社の作品！

また、もう一つこのＣＭを盛り上げているのは、主人公のお疲れＯＬを演じている松本明子さん。体当たりなパワフルさと中性的な自然さがウケていて、最近はお笑い番組だけでなく、トレンディードラマの主役もこなす活躍ぶり。

実は彼女、ピップ内服液のほかにもチョーヤ梅酒のＣＭでもお疲れＯＬを演じている。

「仕事が終わって、風呂に入って、食事の前にまず一杯」と梅酒を飲み干し「クゥーーッ」と気持ちよさそうにほえる。

風呂上がりのすっぴん顔で心からうまそうに梅酒を飲む彼女の姿を見るとまた、このピップのＣＭにつながってしまう。

風呂上がりの女性のお疲れの原因は、あのワガママな動物たちのせいかも…、と二つのＣＭのストーリーを勝手に重ね合せるのも面白い。