3時のおやつと上手に付き合う法 管理栄養士・沖津由香さんに聞く
甘いものは「健康に悪い」「ダイエットの敵」と、とかく悪者に扱われがち。しかし、そうは思いながらも会社で、家で「3時のおやつ」を食べている人は多いのが現状だ。また、食べたい気持ちを無理やり抑制することはストレスの原因にもなりかねない。
「会社で配られたおやつ」につい手を出してしまう、これは女性に限らず男性にも多かった答え。でも、「疲労回復」という利点、「食欲抑制」という効果があることも正しく理解したい。「3時のおやつ」を味方にするその考えとは?
「疲れると甘い物が欲しくなる。3時のおやつ時には必ず甘いものを食べてしまう。そのメカニズムはどうなっているのだろう。上手におやつと付き合うことは重要な健康管理につながる。管理栄養士・沖津由香さんに伺った。
疲労には一晩寝るとスーッと疲れが取れる「急性疲労」と、朝になっても何となくだるさが残ってしまいそれが積もり積もってしまう「慢性疲労」との二通りがあります。
急性疲労のように一時的に集中した仕事やスポーツによって起きた疲れを取るにはまず甘いものを食べ、ぐっすり眠ることです。甘い物とは糖質を多く含んだ食品のことですが消化時間が短く、早くエネルギーになり次の活動の源となるのです。ただし糖質がエネルギーに変わるにはビタミンB1も必要ですから一緒に摂ることが重要ですね。
次の日に疲れをためないように疲れたと思った時点で一杯のお茶と少量の甘いものを食べる。日々忙しく疲れやすいと思っている人は心がけたいことです。
慢性疲労の場合は栄養を摂ることはもちろん、一杯のお茶休憩の習慣、睡眠、入浴、散歩、旅行など自分自身をリラックスさせなければいけません。たとえば、入浴でも高温浴の方が疲れは取れるようです。
3時のおやつ、控えるのがいいのかな?
控えた方がいいとばかりは言えません。糖質は、(1)単糖類のブドウ糖、果糖、たとえばバナナ、パイナップル、マンゴ、パパイヤなど(2)二糖類のショ糖、乳糖、たとえばケーキやチョコレートなど砂糖で作ったお菓子(3)多糖類のでんぷん、グリコーゲン、これはご飯やさつま芋、じゃが芋などに分けられます。単糖類と二糖類、つまり果物や砂糖を使った甘いお菓子は消化が早く血糖値が急激に上昇するのに比べ、多糖類のご飯類は比較的消化がゆっくりなので血糖値もゆっくり上昇します。(表(1)参照)。
ここで利点と言えるのは高い血糖値に食欲を抑える働きがあること。旅行に行って宿に着くとすぐにお茶とお菓子が用意されますが、これは旅の疲れを甘味で癒すと同時に甘味で食欲を抑えコメビツが空になるのを防ぐためだとも言われています。食欲を抑えるメカニズムを理解し、さらに、次の食事に影響が出ないようにうまく付き合うとおやつも敵ではありません。食べ過ぎでも疲れを感じます。これは内臓が休む暇がないため。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。適量を守りましょう。
健康的なおやつの食べ方
個人差があることですから正しい答えはありません。一般的に子どもは身体が小さく胃も小さいので一日三回の食事だけでは身体の成長や一日に必要なエネルギーを摂ることが出来ません。子どもの場合はおやつを一回の食事と考えるべきでしょう。量は控えめにし、だいたい一日の摂取量の一〇~二〇%が適量です。
大人の場合は毎食でそれぞれの栄養摂取量を含む食事をしていれば間食を摂る必要はないです。しかし、食事で不足しやすいビタミン、ミネラルなどを、胃の負担にならない程度に間食で摂るのも一つの方法ですね。オススメしたいおやつはヨーグルト、果物、アイスクリーム、お茶などです。