だから素敵! あの人のヘルシートーク:俳優・田村圭生さん

2007.05.10 142号 3面

「アヒルと鴨のコインロッカー」で、物語のカギを握る「ドルジ」を演じた田村圭生さん。この役柄に至るまで、田村さん自身、何とも味わい深い道のりを歩いてきたようで…。映画や生活、ちょっとお話を聞いてみよう。

カリフォルニアで17歳まで育ちました。レンタルビデオで観た日本のドラマに感動して、どうしても俳優になりたくて。両親は日本人、高校を卒業するまではダメと反対されましたが、内緒で送っていたオーディションに書類が通り、「そんなにやりたいのなら頑張りなさい」と。

単身来日して、最初は自活のためにアルバイトに集中。少し慣れてきて塾に行きました。日本語があまり上手にならなかったからです。「何々して下さい」がどうしても「何々してくらはい」になってしまうんですね。小学校1年生の子たちとジャポニカで勉強、子供は大好きなので楽しかったですよ。漢字のクラスを受けたりね。算数はもちろんできるけど、方程式を日本語で言われるとこれも難しい。英語は大丈夫だからやらなかったです(笑)。1年後に編入試験を受けて、晴れて高校生活を送ることができました。

アルバイトはずっと続けていました。飲食店、コンビニ、レンタルビデオ、お寿司屋さん、デパート。接客業が多かったので、そのおかげかな、最初の頃の僕を知っている人には、「日本語ずいぶん上手になったね」と言われます。

日本語には苦労したけれど、そのおかげで今回、この映画の「ドルジ役」をいただいたので分からないですよね~。ところが「たどたどしい日本語をしゃべる」という役柄のポイントが、今度はすごく難しくて。中間ができなくなるというか、その時期を自分が克服してきちゃったのでどうにも思い出せない。外人の友だちや、アメリカにいる日本語が全くしゃべれない姉に「このセリフ、言ってみて」とお願いして。ようやく分かったんです。やっぱり「何々してく~らは~い」(笑)。ああ、そうなのかあと。「だ」行がRの巻き舌になるのが外人なんだ!

この映画、共演者やスタッフ、それから原作に出会えたことを僕が誇りに思えるくらい、いい映画だと思います。失っちゃけいないもの、それを失った時の自分を考えるとどうなるんだろうと。自分の大切なものが分かる映画だなと思います。恋人、親、ペット、人によって、それはさまざまでしょうけどね。

スーパーってすごく好きなんです。何とか市とか、もう大好きで。「え~っ、これ50円も安い!」。感動しますね。カゴ持ってお店中回ります。料理作りますよ。一人暮らしなので、お金を節約する意味もあって。

2年くらい前、すっごくおかゆみたいなものが食べたい気分の朝があって。それまで料理はしたことがなかったけれど、感覚でやってみました。まず水加減を逆に半分くらいにしておコメを固めに炊いて。スープはまずタマネギとコンソメでダシをとって。色がないとダメだなってトマトとニンジンを切って入れて。そしたら上等なオニオンスープみたいにうまくできた。そこに固めのご飯を入れたらデリシャス!!。盛り上がっちゃって、昼には友だち呼んで。自分は満足だけれど、ほかの人はどうかな。少しおじやっぽくなっちゃったけど、おいしいと言われて、とても嬉しかったです。

レシピ本は見ないんですよ。読んでも分からなくて(笑)。一番よく分からないのは分量に“適当”と書いてあるところ。だったら自分なりに作ればできるハズだと。これ、僕、“感覚料理”って勝手に名付けているんです。

●プロフィル

たむら・けい 1982年、米国カリフォルニア生まれ。2000年にドラマ「カバチタレ!」でデビュー。以後も「仮面ライダー555」(03年)や「バトル・ロワイアル2~鎮魂歌~」(同)、「LOVEHOTELS」(06年)、「WINDS OF GOD~KAMIKAZE~」(同)など多数。

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