Mr.&Ms.働き盛りは遊び上手 作家・立松和平さん
「僕はもともとバック・パッカーでしてね、どこにでもリュックかついで旅していたんです。今でもそれが続いているんですが」と最新著書「南の島から日本が見える」で語る、作家の立松和平さん。本紙読者の働き盛り層の中にも、この言葉に自分のそんな時代を思い出す人がいるのではないか。旅の達人、立松さんにメインフィールドのひとつ、北海道・知床での最近の出来事を話してもらった。
知床にいい仲間が出来て行き来するようになってもう一〇年くらいになりますが、今年の夏はとくに面白かったね。一番の思い出は、近くに二〇頭くらいのヒグマが生息しているという漁師の番屋に行ったこと。番屋で漁師が網の繕いをしているとヒグマが現われて、俺の回りを三周回って「どこか行った」なんて話を前から聞いていました。向こうではみんな自然や動物と共存なんです。こちらがそれなりの態度でいれば、ヒグマはそんな危ない存在ではないんですよ。登山者がよく熊に追いかけられたって大騒ぎして番屋に飛び込んでくるけれど、漁師に言わせれば「それは熊に会っただけ」みたいね。
それで実際今回会えたのかって? ええ、五メートルくらいの近さで対面しましたよ。いままでも遠くから見かけたことは何度もあったけれど、こんなに近いのは初めて。危険とかそういうことは全くどうってことなかったですが、とにかくすごい臭いがしますよ、熊の臭いが。なんかフロに入ってないなあという強烈な臭いですね(笑)。
豊かな所ですからね、土地の人は、動物たちが先に暮らしていて、その中に熊もいて、後から人が入ってきて暮らさせてもらっている、そういう意識がすごく強いみたい。必要以上にお互いに関心持っちゃうと微妙な関係が崩れるでしょう。だからお互いのテリトリーを犯しそうになった時は、棒で追い払うんです「来るな、逃げろ」って。それでお互いにいい距離を保とうとする。勉強になりますね。
冬にまた出掛けるのですが、次回は釣りができるんじゃないかと楽しみです。
いまオホーツクでイカがすごく釣れているようなんですね。仲間が中古の漁船を買ったんです。名前は「知床ジョニー」。僕に名付け親になれというから、最初「紅丸」って付けたんですよ。これは土地のジャガ芋の品種名で僕はいいと思ったんだけれど、向こうの仲間が「イモじゃなぁー」と不服そうに言う。もっと格好いいのにしてくれと。それで「ジョニー」ですよ。
三ヵ月行かないと、しばらく来ない、来い来いと言われる。いい仲間といい季節に、おいしい物を食べて楽しく遊んで過ごす。最高の時間です。
◇立松さん大好物の冬の知床料理・鮭のちゃんちゃん焼き
雪掻き用の大きなスコップを火にかけバターを半かけ、鮭をドーンとのせ片面が焼けたら、ジャガ芋・キャベツ・玉ネギなどの野菜を上にのせる。味付けは食べる時に味噌をつけるだけ。「とにかく材料のいい物で作ること。だから贅沢料理だよね」(立松さん)。














