消費者と会いたい-生産者からの手紙 「なると金時」にショック
消費者は生産現場を知らない。生産者は消費者を知らない。この関係を疑問に思った生産者が消費の現場を知ろうと立ちあがった。そして消費者も生産現場を知るべき、と当編集部に便りが来た。「真実は現場にある」。
昨年、東京の百貨店で「なると金時」が桐の箱に入れられ、法外な値段で売られているのを見つけました。私たち生産者は目を見張りました。
驚きました。こんなことがあっていいものだろうか。いくらブランド品として好評をいただいているとはいえ、イモはイモ。甘藷(かんしょ)としての良さや生き方があるはずです。何かが間違っているのではないか。こんなことをしていたら大変なことになる。
先が思いやられる、立ちすくむようなショックの中で、ハタと気がつきました。そうです、私たち生産者は消費の現場を全く知らないのです。どう売られ、買われ、食されているのか--消費者とは会ったことも話をしたこともないのです。ただひたすら生産にまい進し、出荷してまいりました。より甘く、より姿よく、色よく。
しかし、これではいかん。本当のトコロが知りたい、だから消費者と会いたい、話がしたい! 私たちの気持ちも、やっていることも知ってほしい。確認したい。ここから私たち「創食の会“緑のわ”」の新しい活動が始まりました。昨秋のことです。
時は9月、収穫の月でした。植えつけから一一○~一三○日をメドに、晴天続きの後を待って収穫に入ります。すばらしい出来です。一年間で一番すばらしい時です。
この喜びと自信作を持って、東京へ出かけました。日本マーケター女性会議の人々と会うためです。JMFと呼ばれるこの会は、消費者でありマーケッターである人たちのネットワークです。
そこで発せられた第一声に、私たちはド肝を抜かれ、怒り、感動し、そこから長く深い交流が始まりました。そのドキュメントと私たちの活動をこれからご報告いたします。
(創食の会“緑のわ”吉成顕二代表)
=以下次号13面