オクラの日本史 “オクラ入りから”から夏野菜の定番品に

1997.09.10 24号 20面

オクラが日本に渡来したのは明治5年頃。しかし青臭さやヌラヌラ感が敬遠され、他の野菜たちと違って普及せず、文字どおり“オクラ”入りしてしまった。

そんなオクラが普及した背景には、戦争の影がある。太平洋戦争で、東南アジアの各地を転戦した日本人兵士たちは、飢餓にあえぐ自給生活の中で、生育の旺盛なオクラに救われることがしばしばだった。兵士たちは自然にその味に親しんでいき、帰国後、オクラを栽培し、優良品種を日本の風土に定着させた。

その後、オクラはカルシウムと鉄分を多く含むスタミナ食として愛好者が増え、昭和40年頃から消費量がアップ。子供も好む緑黄色野菜として、いまや堂々の市民権を得た。

また最近では、家庭菜園でもオクラが人気。オクラは、フヨウやハイビスカスと同族のアオイ科の一年生植物で、夏に咲く大輪の見事な黄色い花は鑑賞用としても楽しまれる。花が終わって五日後頃が実は食べ頃。生育旺盛で最盛期には、摘んだ後からすぐ大きくなる。鉢植えでも簡単に生産できる。あなたも来夏、育ててみては?

●取材・撮影協力=ハッピーファーム昭和

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