百歳への招待「長寿の源」食材を追う:「レバー」
今回は魚分野、肉分野からひとつずつ、栄養の宝庫的な食材をピックアップ。ハゼは9~2月までが旬。レバーはカゼをひきやすいこれからの季節、積極的に摂取したい。
(食品評論家 太木光一)
レバーは食べるスタミナ薬とも、あるいは食べる化粧料ともいわれ美肌と健康をつくる理想的な食品とみられている。
良質なタンパク質のほかビタミンの宝庫でA・B1・B2・ナイアシン・Cなどが非常に多く、鉄やカルシウムなどのミネラル、亜鉛や銅などの微ミネラルにも恵まれている。
栄養価が高く、味の良いレバー料理は、もてなし料理としてフランスなどでは高く評価されている。肉と比べて需要が多く、肉よりも高値が一般的。ところが日本ではまだレバー料理が普及せず、肉よりも割安である。
ビタミンAでは一○○㌘当たり鶏一万四○○○、豚一万三○○○、牛一万二○○○国際単位と多く、ビタミンAを含む食品の上位一、二、三位を独占。特にビタミンAはカゼをひかないための大切な栄養素である。のど・目・鼻・気管支などの粘膜は粘液に包まれているが、この粘液が乾き、粘膜も乾くとカゼや肺炎を招くもととなる。Aが不足すると粘液が作れなくなる。従って冬に多く摂りたいビタミンだ。
Aについで多いのがB2である。牛三・○、豚三・六、鶏一・八㍉㌘と多い。B2が不足すると成長が止まり、皮膚もカサカサしてくる。また口唇炎・口角炎・舌炎などの炎症にかかりやすい。
Cも多いがさらに鉄分の多いのが目立つ。牛四、豚一三、鶏九㍉㌘。豚と鶏は鉄の多い食品のベストテン入りである。どのレバーも肉と比べて二倍の鉄分を持っている。貧血予防に効果が高い。貧血で医者に行くと必ずレバーをとるようにと指示がでるのは当然だ。
また脂質は非常に少なく白身の魚並みで、しかもエネルギーは肉の半分。ローエネルギー・ローファット食品で、食べ過ぎによる肥満予防の作用もみられる。
中国流の医食同源の思想からみると、胃が悪いと他の動物の胃(例えば熊の胃)を摂るが、レバーは肝臓病にとって卓効ある治療法である。高タンパク・高ビタミン食として望ましいからである。
レバーは美味・スタミナ食であるが価格が安く、在日外国人は不思議に思っている。これは日本人がレバーの効用と利用方法を知らないから。
レバー料理は血ぬきとくさみ消しがポイント。血ぬきは三%ぐらいの塩水につけもみ洗いを数回し、血を洗い流すこと。ただしあまり長く水にさらすとうま味も逃げるので注意。鶏レバーは形態も小さく軽く水洗い程度に。くさみ消しはスパイスが一番。中国ではショウガ・ニンニク・ネギを多用。欧米ではコショウ・セージ・ナツメグ・タイムなど。サッと湯通しするのも効果的である。湯の中にベイリーフや玉ねぎを入れておくとよい。
ヨーロッパでは仔牛レバーの網焼き、豚レバーの炒め煮などは名物料理。中国でも干煎猪肝(豚レバーの焼きもの)・猪肝炒洋葱(豚レバーと玉ねぎの炒めもの)は人気メニュー。日本でもレバーのにら炒めは若者の好物となってきた。