ザ・ニッポン地方発 たこシャブ(北海道・虎杖浜) 厚過ぎず薄過ぎずの旨み

1997.11.10 26号 16面

遅い秋の北海道はもう冬が始まっていた。函館本線に乗ると、すでに暖房が入り、車窓からは真っ赤に色づいた木々が山を埋めていた。

洞爺の近くの虎杖浜駅でおり、車で一○分も行くと、そこは広い太平洋の虎杖浜海岸に出る。この浜ではすけそう鱈漁が盛んで、採ってすぐに子を取り出して塩漬けにし、ていねいにたらこにする加工場が幾つもある。輸入のたらこと違い、値段ははるが味が格別だという。

それから地元郵便局の小林局長のおすすめはなんとたこだという。色々な種類のたこが年間採れるのでいつも魚市場はにぎわっているが、たこはおいしいのに、固かったりして、食べ方がいま一つ広がらない。もっと多くの人に食べてもらえるようにさまざまな商品開発を試みたと言う。

そしてできたのが、ふるさと小包み便として売り出した「たこシャブ」。「まず固くないように厚さ四㍉に決まるまでに三年もかかってしまいました」。薄過ぎてはたこの味がしなくなり、厚過ぎては、年寄りは固くて食べれないの繰り返しの中、茹でてすぐに四㍉にする技術開発が完成して、いまでは全国に冷凍で届けることが出来る。お湯の中には五つ数えるくらいくぐらせ、ユズの香りがするポンズにつけたり、好みで、胡麻だれをつけてもよい。

近くにある局長おすすめの居酒屋で、早速前の海で採った魚料理を頂いた。日高昆布を入れた鍋の中でほんの数秒ゆでるだけ、何とも言えないたこの旨味が味わえる。成人病予防に一役買えそうなこの素材、ぜひお試し下さい。

●タコと大根のやわらか煮

〈材料〉 4人分 タコ300g、大根400g、昆布10cm、だし800㏄、酒大さじ2杯、砂糖大さじ2杯、しょう油大さじ2杯、塩少々、みりん大さじ2杯

〈作り方〉 (1)大根は半月に切ってコメの研き汁でゆでておく。(2)タコはぶつ切りにする。(3)鍋に昆布、だし、大根、タコを入れ、酒、砂糖をいれて蓋をして柔らかくなるまで煮る。(4)しょう油を加え味をみて、塩を入れ少し煮る。(5)みりんを加えて蓋をとって煮る。

●タコのドライカレー

〈材料〉 4人分 タコ200g、タマネギ100g、ピーマン3個、人参50g、セロリ50g、鶏ひき肉100g、カレー粉大さじ2杯、小麦粉大さじ1杯、トマト1個、にんにく1片、塩小さじ1杯、ケチャップ大さじ2杯、コショウ少々、水300㏄、油少々

〈作り方〉 (1)野菜はみじん切りにする。タコも細かく切る。(2)厚手の鍋に油をいれ(1)の野菜、タコ、鶏ひき肉を炒め、カレー粉を加えて、さらに炒めてから小麦粉を入れ、徐々に水を入れて弱火で煮る。(3)塩、ケチャップ、コショウで味をつけ焦がさないようにかき混ぜながら煮る。

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