飽食の裏側-食の再点検:冷凍野菜、実害はないけど…
食生活の中で野菜に何を求めるか。野菜は健康的な食生活を送る上では欠かすことのできない食材。カロリーが低く、ビタミン、ミネラルなど身体の調子を整える栄養豊富な食べ物だからだ。その野菜売場に異変が起こっている。店頭に冷凍野菜が幅をきかせ始めたのだ。なぜ冷凍野菜の人気が上がっているのか。検証してみたい。
最近の野菜の流通に関しては国内生産量が減少し輸入品が増加している傾向にある。平成7年度では全体の一五%が輸入でまかなわれている(農水省平成7年食料需給表)。なかでも冷凍され個別包装されている「冷凍野菜」は、その大部分が輸入品で中国などから多く入ってきている。一般家庭用に販売される「冷凍野菜」については比較的新しい商品群であるため生鮮野菜と比較して利用する場合の栄養面や調理のしやすさ、おいしさなどの情報がいまのところまだ少ない。
そこで平成9年6月から11月の期間で国民生活センターで調査された結果を見てみよう。インゲン、枝豆、里芋、ブロッコリー、ほうれん草の二○銘柄について調査されている。
興味深い結果が出たのは異物混入について。冷凍野菜は軽くブランチング(茹でる)してから冷凍にしたものが多い。素材が青果物の場合は虫が混入している可能性も高いはずだ。調査結果ではインゲンの一銘柄で蛾の幼虫がインゲンに食い込むような形で見つかった。また、ブロッコリーは四銘柄のうち三銘柄で、同じく蛾の幼虫が発見された。
冷凍野菜は冷凍のまま煮たり炒めたりなどの加熱・調理をするよう表示があり、調理前に洗うという作業がないのでそのまま異物を食べてしまう可能性が高い。いずれも加熱して食べる商品なので食べても健康には問題がない。しかし、気持ちのいい結果ではなかった。次回は栄養面の情報をお伝えする。意外に栄養価は高いようだ。