百歳への招待「長寿の源」食材を追う 「霊芝(れいし)」不眠症・高血圧症に
霊芝(れいし)・鹿茸(ろくじょう)は、ともに漢方として高貴薬食で庶民の口に入ることはなかった。最近では人工栽培や養殖で量産化され、強壮・強精・長寿食として見直されてきた。
(食品評論家・太木光一)
霊芝はサルノコシカケ科でマンネンタケと呼ばれるキノコである。霊芝とは霊なる芝、すなわち不思議な力を持つ芝のことで、芝はマンネンタケを意味する。古来から瑞祥のシンボルとされ多くの伝説や民話が生まれている。
生育地は平地から高山までの雑木林で日本では北海道から沖縄まで全国に及ぶ。
霊芝は普通のキノコと全く異なり、茎は中央からでなくかさのヘリから出てくる。キノコ全体に漆を塗ったような光沢が見られ、表面の色は赤褐色か紫褐色である。
不死草の別名に見るごとく、乾燥すると堅いコルク質となる。他のキノコに見るように腐ることはなく原形を保っている。古くから不老長寿の神仙薬とされ珍重されてきたが、形状の不思議さや発見の困難さで過大に評価された。漢方薬で話題となり実用化されたのは一九七○年以降と極めて新しい。
中国に見る産地は浙江・江西・湖南・広西・福建・広東省など。外観は日本産よりも大きくかさと高さはそれぞれ二○センチ前後である。多くは黒色で光沢がみられる。
現在中国は食用茸の栽培がブーム。草茸(フクロダケ)・香茄(椎茸)・黒木耳(黒キクラゲ)・銀木耳(白キクラゲ)・猴頭(ヤマブシダケ)・竹●(キヌガサダケ)・茯苓・天麻・霊芝ほかが栽培されている。多くの億万長者が誕生している。特に霊芝は幻のキノコの人工栽培の成功例として話題を投げた。
量産に成功し価格も大幅に値下がりしてきた。薬効からみると、慢性気管炎・気管支炎・白細胞減少症・冠心臓病・心律失常・急性肝炎などに良いとされてきたが、研究が進み、高脂血症・不眠症・高血圧症・胃炎などにも効果的なことが判明した。また日中交流の研究報告では高血圧症・動脈硬化症・脳梗塞・心筋梗塞などの成人病に対し極めて有効であることも判明し、一段と評価が高まってきた。
最近では霊芝は制ガン作用が大きいとして話題を集め、ブームとなった。ただしサルノコシカケと制ガン効果については類似の製品が多くよくチェックする必要がある。またキノコの鮮度(枯死したものはダメ)も留意事項となる。
霊芝は、薬茶・薬粥・薬湯(スープ)・薬酒などに広く利用されている。それらの価格も人工栽培の量産化で大幅な値下がり中である。
薬酒は容易に作れる。期待される効果は強壮・胃潰瘍・血圧降下・糖尿病・神経痛・インフルエンザなどだ。
霊芝茶は一日一杯をめどに一回の使用量は一○グラム程度。益寿延年(長寿)・補中益気(元気が出る)に良く、常用すれば高脂血症・不眠・神経症などにもよい。
薬粥はうるち米霊芝粥が手軽。うるち米・霊芝各五○グラム、小麦六○グラム、白砂糖三○グラムを土鍋で作る。益腎・養心・精神安定用に。
薬膳は霊芝田七痩身湯が有名。豚肉・龍眼肉・田七・霊芝を煮熟しスープを作る。効用は養心・不眠・降圧・止痛などに良い。