恋に身を焼きパンを焼き イタリア伝統のパン「パネトーネ」
昔、トニーという若者がお姫様に恋をして、パンを焼きプレゼントしました。お姫様を喜ばせたそのパンは味も形もいままでになかった新しいものでした。イタリアではパンのことをパーネ(PANE)といい、トニー(TONI)が作ったそのパンは、パネトーネと呼ばれ、のちに人々に愛されるようになりましたとさ。
生地には保存料が一切使用されていない。にもかかわらず長もちするのは、天然酵母のなかに含まれる乳酸菌の力。
パネトーネ種では、数十~数百の酵母と乳酸菌の複合効果により、水分活性とpH値が低く保たれ、雑菌の繁殖を抑えることができるのだ。
加えて甘さと酸っぱさが程よくミックスされた自然な風味に仕上がる。
外見はマフィンに似ているが、カットして断面を見ると中身はまったく違う。三日かけて発酵させた生地がすき間なく伸びて、独特の層を作っている。
一般のパンの内装は、網目構造(柱状あるいは泡状)になっているのに対し、天然酵母のパネトーネは、幾重にも折り重なった膜でできているため、口どけが非常によく、風味も逃げない。
ドライフルーツがふんだんにちりばめられ、ボリュームがあるように見えるが、甘さ控えめで自然の風味が芳しい。
ケーキのようにカットして、生クリームやフルーツを添えたりすれば、ちょっとした贈り物・おもてなしにもグー。そのまま食べても冷やしても、レンジでフワッとさせても美味。