風の便り:ぽかぽかニンニク

1999.02.10 41号 7面

ニンニクスープ

私はそう呼んでいるこのメニュー、お疲れ気味の人に実におススメ。本当の名前は「ピストゥスープ」。南仏の伝統料理だが、ニンニクを七片も入れて作るので、においも威力も半端じゃない。

一年ほど前、友人を家に呼んで作ったメニューだ。文学少女がそのまま大人になったような友人は体調があまり優れなくて、私も珍しく元気がなくて、外食するのも面倒だからと、お泊まり会にした。二、三日前に買った料理の本をパラパラとめくってみると、「野菜いっぱいのスープ 簡単」の文字。こりゃいいと即決定して、買い出しに行く。

ズッキーニ、エンドウ、インゲン、ニンジン、玉ネギ、グリーンピースなどの野菜をザクザク切る。みじん切りのニンニクと一緒に炒めてグツグツ煮込む。「お肉なんて全く入っていないのに、なんでこんなにおダシが出るのかしら」なんて話しながら梅酒をちびり。

『たっぷりのバジルの葉、ニンニク四片、松の実、卵黄、オリーブオイル、塩こしょうをミキサーにかけてマヨネーズ状のソースをつくる』なんて本には書いてあるけれど、ミキサーなんてない。「すり鉢でするか」とまた梅酒をちびり。

部屋中にバジルの香りとニンニク独特のにおいが広がっていく。

テーブルにお皿を運んで、さあ夕食。湯気の向こうに、ほんのり赤い二人の顔。ままま、なんて言いながらあつあつのスープをよそう。すり鉢の濃厚ソースとすりおろしたパルメザンチーズを加えて食べる。とろみのついたスープは身体の芯まで温める。パンはやっぱりガーリックトースト。梅酒もクイクイ。ずんどう鍋にあったスープがどんどん減る。夜更けまで話がはずむ。

次の日、朝からまたスープ。それからホットケーキを作る。今日は二人ともよく笑う。ねえ、ボウリングに行こうよ。外は空っ風。二子橋の上はさらに風は強い。なのに彼女は薄着、私も薄着、寒くない。休日のボウリング場は混んでいる。二人ともガンガン投げる。ガーターを出そうがテンションは下がらず、大笑い。おいおい、元気だねえ。これもニンニクの力かしら。

心も身体も寒いあなた。元気印になるこんなスープはいかが。(うめ)

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