おはしで防ぐ現代病:コーヒー飲んでガン予防

1999.02.10 41号 15面

世界の約三分の一の人が飲んでいるコーヒー。昔は生薬(漢方薬の原料)の一種とされていたが、いつしかガンのもとだとか、身体に悪いというイメージが強くなった。しかし、本当はガンの発生にコーヒーは無関係で、逆にガンや老化を抑制する効果を持つという。コーヒーの成分について研究を行った日本女子大学食物学科のグュエン・ヴァン・チュエン教授に聞いた。

●細胞の突然変異(ガン化)を抑える働き

よく、焦げた魚などを食べるとガンになる、といわれます。この原因は、お焦げの中に、タンパク質・アミノ酸などが熱によって分解され、発ガン性へテロサイクリックアミンが生成されるからです。そういった発ガン性化合物が正常な細胞を突然変異させ、ガン細胞を作るのです。

コーヒーの成分には、ガンをつくる変異原性を抑える役割があります。例えば、変異原生物質に侵されやすいサルモネラ菌を用いて行った実験では、コーヒー成分と一緒に培養すると菌の繁殖が鈍く、変異原生物質の活性を抑制する様子が確かめられました。

●身体のサビのもと(活性酸素)を抑制する

またガンの発生は、体内活性酸素の働きとも密接に関係しています。コーヒーには過剰発生してしまう活性酸素を消去する能力もあるのです。

活性酸素は私たちの体内にあって、外からのウイルス(細菌より小さな病原体)の侵入を抑える働きがあるので、ある程度は必要です。しかし、体内に過剰になると、細胞膜を酸化してガンや老化の原因となるため、ふだんの食事や飲み物で、活性酸素を適量に保つことが望ましいのです。

コーヒーの濃度が濃くなればなるほど、活性酸素の一つである過酸化水素を分解します。さらに別の活性酸素(スーパーオキシドアニオンやOHラジカル)についても同様の結果を得ました。

このコーヒーの作用は、コーヒーを豆からいれた時だけでなく、インスタントコーヒーにも認めることができます。また、コーヒー豆の煎り方比較では、浅煎りよりも深煎りに活性酸素を消去する働きが強い傾向がありました。

これらコーヒーの、活性酸素消去作用・抗変異原性は、ガンや老化予防に有効かもしれません。

ただし、いくら身体にいいからといってコーヒーばかりを大量に飲んではいい訳がありません。バランス良い食生活とリズム良い生活に、コーヒーが好きな人には一日三杯程度が健康に良いと思われます。

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