風の便り:甘く酸っぱいハチミツレモン

1999.03.10 42号 7面

ハチミツレモン、これはまさしく代々伝わる汗と涙の伝統の味なのだ。

一つ二つの年の違いがそんなにエライのかと見せつけられた中学校のクラブ活動。中でも私が籍を置いたのは「ひょえー」と感じるほど怖い印象があった女子バスケット部。悲しいかな、最初に受けた印象はハズれず当たるものなのだ。

あいさつの仕方や言葉使い、煩わしいことはたくさんあったが、中でも苦労し、でも楽しく家族まで巻き込んで上級生のお気に召すよう努力したのがハチミツレモンだった。試合のたびに前日の夜から漬けこんで作っていたっけ。

しかし、中学生とはとかくやっかいな生き物で、初めて持つ下級生になにか文句が言いたいのか、「これ、甘すぎる」とか「もっと冷たくしてきて」とか、挙げ句の果てには「レモンの皮に印字してあるブルーの文字って身体に悪くないの?」ときたもんだ。

ブルーの文字のところだけナイフで削りつつ、制作中の私に「ハチミツレモンなんだから、砂糖じゃなくてハチミツを使うのよ」と優しくも厳しいお言葉が……。この声の主のバスケットのプレー姿に憧れれ?、始めてしまった妹の私。家にいる大先輩の声に忠実に作ってみると、我ながら「うーん、確かにおいしい」気がする。

自信満々で持って行ったけれど、その後の覚えがないので大して誉められなかったのだろう。かくいう私も先輩になったアカツキには同じようなことをやっていた。さらに付け加わった言葉は「砂糖よりハチミツがおいしいのよ!」。……おねえちゃん、ありがとう。 ハナ

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