百歳への招待「長寿の源」食材を追う「タコ」

1999.03.10 42号 11面

タコは、日本では有史以前から食べられている。古墳時代の遺跡から、タコつぼと思われる土器が数多く発見されている。タコ類はすべて海にすみ、日本近海ではマダコ・ミズダコ・イイダコ・スナダコほか約四〇種みられる。

丸い頭に八本の足が付いているように見えるが、実は頭のように見える部分が胴で、この中に内臓もエラも入っている。目のある辺りが真の頭で、この頭から四対の腕(足とも言う)が直接生えている。この類がすべて頭足類と呼ばれている。

タコ類は、エビ・カニなどの甲殻類を好んで食べるが、口の中に甲殻類を一瞬にして殺してしまうチラミンを分泌して捕らえる。タコは賢く、しかし性格は凶暴。アワビなどを捕食するときは腕を巻き付けて呼吸できなくなってから殻をはずして食べる。ハマグリの場合は小石で貝殻が閉じないようにはさんで中身を取り出す。

関西では女性のお好きなものは芝居・コンニャク・芋・タコ・ナンキンといわれる通り、女性好みの食品である。

食べ方は酢ダコ・みそ酢・すし種・おでん・煮物など。加工品では塩ダコ・くん製・珍味・乾ダコ・タコき焼などとなる。人気の高いのは酢の物で、ワサビとの相性がよい。煮物の場合、砂糖としょう油で煮た桜煮や芋タコはとくに有名である。

タコは魚と違って加熱すると堅くなりやすいので、柔らかく煮るには豆類と煮たり、大根のおろし汁を加えて煮ると良い。

国産のタコの漁獲高は減少を続けている。これに代わって輸入が急増。インド洋やアメリカ東岸、オーストラリアでも漁獲される。最も量の多いのは、モロッコなどアフリカ近海である。国産と比べて、あっさりした味で柔らかく歯の弱い人でも食べられる。しかしここでも乱獲によって漁獲高は急減し、国産との価格差は縮まっている。

タコはイカと同様にかみにくい点がみられるが消化率は良い。かみにくさと消化率は別である。外見はグロテスクで栄養がなさそうであるが、タンパク質は比較的多く、この給源には良い食品といえよう。さらにタコには動脈硬化を防ぎ血圧を下げるタウリンという成分が大量に含まれていることが判明した。

タウリンはエビやイカにもみられるが、タコの含有量は非常に多く、血液中のコレステロールの量を抑える作用を持つ。コレステロールが高いと注意された人は、タコを食べて心筋梗塞を予防すると良い。

またタウリンは肝臓の働きを良くするので疲労回復にも効果的な食品といえよう。さらにタコは銅を多く含み、腸管からの鉄の吸収を良くする作用がみられる。

本来の旬は7~8八月の夏場であるが、輸入物は一年中スーパーで並んでいる。動脈硬化や血圧を下げる効果的な食品である。

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