身体をやさしくケアする食品、肝臓をケアするウコン
ウコンが肝臓にいいらしい、という噂が左党を中心に急速に広がったのは五年ほど前。その後、顆粒や錠剤、飲料など「ウコン」の商品は驚くべき発展を遂げた。
ウコンとはショウガ科クルクマ属の多年草。沖縄ではその根茎が「二日酔いの特効薬」として古くから愛用されている。現在も沖縄の市場の特産の野菜売り場ではニガウリなどと同じように生のウコンが山積みで売られ、生活に浸透している。そのせいか、沖縄の肝疾患や肝硬変による死亡率は人口二〇万人に対する割合で約一一%。これは全国平均(約一三%)を下回っている。
日本では沖縄県で多く生産されるウコンだが、原産地はインド。誰でもインド料理で一番にイメージするのはカレーだろう。カレーの色を黄色っぽくしているのはウコン、別名ターメリックと呼ばれるものだ。一面の写真にある通り、ウコンを切ってみると中は鮮やかな黄色。
この黄色い色素はウコンの主成分であるクルクミンだが、これが肝臓の細胞を活性化させ胆汁の分泌を高める。胆汁は肝臓から分泌され十二指腸を活性化させる消化液だが、胆汁の出がいいことは肝臓が元気で働いているという証拠でもある。
一九九五年1月、台湾大学病院がウコンを使ったガン治療法の臨床実験を始めたというニュースが伝えられた。アメリカのラトガース大学ではクルクミンを発ガン物質を塗ったネズミの皮膚に塗布したところ、皮膚ガンの発生が抑えられたという実験結果を報告。日本では厚生省、文部省、科学技術庁の三省庁が共同事業として推進する「ガン克服新十カ年戦略」プロジェクトにウコンが取り上げられている。
ウコンは現時点で調査研究段階の報告が多いが、肝臓に対する効果はもちろん動脈硬化を防ぐ、美顔効果が期待できるなどの研究結果が次々と報告され、それが商品開発につながっているようだ。
(資料提供 (株)沖縄県物産公社、参考資料=「発酵ウコンはなぜ効くのか」(現代書林発行、本郷冨士彌農学博士著)