百歳への招待「長寿の源」食材を追う「オレガノ」

1999.05.10 44号 11面

オレガノは地中海から西南アジアにかけての広い地域を原産とするシソ科の多年草。現在の主産地はギリシャ・トルコ・イタリア・ポルトガルほか。ラテンアメリカも産出国。

オレガノは第二次大戦前までは、アメリカでもあまり関心が持たれていなかった。ところがイタリアに駐留した米兵によってピッツアが持ち込まれ、全米にオレガノブームがわき起こった。この強い香りにひきつけられたようだ。日本でもアメリカを経てピッツアが入り若い人たちの好物となった。そしてこの一○年間、イタリア料理がブームとなりオレガノの人気は一段と高まってきた。

オレガノはギリシャ語で「喜びの山」を意味する。別名ワイルド・マジョラムと呼ばれ非常に強いハーブである。三○~六○センチ程度の比較的小さな草で、葉は一~二センチの卵型をしている。

古代から薬用として、興奮剤として利用されてきた。また咳・ぜんそく・消化不良・頭痛・歯痛・リューマチなどの治療薬とされてきた。現代でも殺菌・解毒・消化促進・健胃などの薬用ハーブとされている。日本には江戸時代末期から伝えられ、観賞用として栽培された歴史を持つ。日本名はハナハッカ(花薄荷)。

オレガノの葉は香草特有の芳香を放ち、快い辛味とホロ苦さを持っている。樟脳に似た感じもある。7~月にかけて、茎の先に穂状の花をつける。

小さな紫色を帯びた淡紅色でなかなか美しい。花が終わった後、刈り取った葉を乾燥する。葉の色は乾いた後でも深緑色で、これをオレガノと呼び、上品なホロ苦さを持つためにファンは多い。

オレガノの特性は魚や肉の臭みを消すばかりでなく、料理に飽きのこないコクを与える。特にチリパウダーとよく合うためメキシコ料理には欠かせない。その代表がタコスである。

またオレガノはピッツア・ソースばかりでなく、スパゲティミートソース、トマトジュース、トマト料理などともよく合い広く使われている。

ローマ時代の美食家として有名なアビシウスの料理の本にも、オレガノはおいしいソース作りには欠かせないと古くから高く評価されている食材である。

現在ではオムレツ、ラム・マトン料理、ビーフシチュー、グレービーソース、サラダドレッシング、ハンバーガー、鶏肉の煮込み、ピッツア、トーストなどに広く使われている。

オレガノは砕いて使うが、そのまま袋に入れ調理してひき上げる。市販品は粉末と原形のまま。多めに使うと香りは強いが味を損なうので要注意。応用範囲が広く、しかも薬効効果も期待され、有用なハーブと呼べよう。ドライフラワーにも利用されている。

オレガノの性状は強く、日本の気候にも合い、しかも美しい。いま、ガーデニングのブームとなり、数多いハーブの中でも人気は高く上昇傾向をみせている。

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