百歳への招待「長寿の源」食材を追う:ナマコ
ナマコを生で食べるのは日本だけで、中国では乾燥品を食用とする。これを海参(ハイシヤン)と読んでいる。朝鮮人参と並んで滋養強壮の効果が期待されるので海の薬用人参ということで海参と名付けられた。
ウニやヒトデと同じ 皮動物で中国では三国時代から食べられていた。海底一〇~三〇メートルぐらいの深いところに棲み、水温が摂氏一六度以上になると、その中にもぐって夏眠する。秋の終りごろから再び活躍しはじめ冬になると盛んに運動する。昼間はかくれ夜間に活躍するので海鼠の別名を持つ。
中国では種類として二〇種ほど、大きさは小指ほどのものが多いが、トゲのないものを光(コア)参・トゲのあるものを刺(ツー)参と呼ぶが後者の方が良品である。身体の大きなものほど珍重される。
戻し方は海参にかぶるぐらいの水に大さじ一杯の灰を加えて約一〇分ほど煮立て茹でこぼしながら三~四日かけて柔らかくする。成分は乾燥品で、水分は二一・五五%、粗タンパク質五五・五一%、脂肪と灰分二一・〇九%、その他カルシウムと鉄がわずかにみられる。
海参はゼラチン質で濃厚な舌触りと旨味がみられる。また消化が非常によい。このため宮廷料理のメニューとして
螂海参(ゆばと海参の炒り煮)や千福連海参(豚肉と海参の煮込み)などがみられ、外観もよく名声を博している。一般の代表メニューとしては紅焼海参(煮込み)と葱焼海参(葱との煮物)ほかとなるが高級料理である。(1)生の海参を海中にもぐってとるのが大変(2)これを乾すのに手間がかかる(3)料理するのに四日もかかる(4)保存管理が悪いと味は極端に落ちる(5)調理に当って肉類や蝦子(干しえび)・干貝を多く使い、しかも淡味に仕上げること‐‐などの理由で高価な料理となる。海参は薬膳料理の素材としても貴重である。本草学に滋養補血・養血潤燥・壮陽療萎・調経養胎利産の効果が大きいとしている。中国では不老長寿食品とみてお年寄りのおすすめ食品であり、降血圧食としても優れ、動脈硬化を防ぐのによい食品とみている。女性には産前産後食として、子供にも発育によい。薬膳利用として海参肉片湯(スープ)・参羊肉片湯(スープ)・参 散・海参煎(煮付け)など体力・精力の増強に特別メニューも用意されている。長期服用していると腰痛を治し、身体のつかれ退治にも効果的。