がんに挑むマイタケ、神戸薬科大学・難波教授

1999.08.10 47号 14面

‐‐マイタケの研究を始められたきっかけは。

難波 京大から神戸女子薬科大(現在の神戸薬科大)に移った当初、水虫治療薬の開発に取り組みました。その過程で、水虫の病原菌(一種のカビ)の持つ多糖体が、免疫反応を活性化することに気がつきました。そこから、多糖体をたくさん持つ素材としてキノコ類に着目し、数一〇種類のキノコを調べたところ、マイタケの多糖体が、免疫反応を活性化させる力が強いことに気づきました。動物実験では、乳がん、子宮がん、肝がん、肺がんに効果があると分かりました。そこでこれを「MD‐フラクション」と名付け発表しました。

‐‐「MD‐フラクション」は、がんにどのように効くのでしょうか。

難波 MD‐フラクションは、免疫担当細胞を活性化させることでがん細胞を叩きます。その機能は普通のキノコより強く、さらに慢性・急性の毒性もないということが認められ、代替療法として採用されました。

最初はアメリカのドクターが使いだし、日本のドクターもそれに続きました。日本では、患者さんの方が、我々の学会発表を知って使ってみたいという人が多かったですね。ただ、主治医の先生の許可を得て使ってもらうように決めています。

また、使用した結果のデータも送ってもらっています。

そうしたことで、患者の免疫力が回復すれば、がんにチャレンジすることは可能だという結果が得られるようになりました。

MD‐フラクションは薬として認められていませんので注射はできませんが、既に認可されているレンチナン(シイタケの抽出物)など他の免疫療法薬と違い、経口投与でも効くということが非常にメリットになっています。

‐‐「MD‐フラクション」と、他のキノコ類の抽出物との作用の違いは。

難波 例えば乳がんの動物実験では、「MD‐フラクション」は八五%の増殖抑制率(がんが小さくなる)を示しました。レンチナンは五〇~六〇%、アガリクスは四〇~四五%でした。

ただ、MD‐フラクションでも完治はしていませんし、その考え方では、現在、がんに効く薬はありません。その中で、副作用のある抗がん剤だけを使うか、こういうものを併用するかということになります。

抗がん剤を半量にしてMD‐フラクションと併用すれば、抗がん剤による免疫力低下や、脱毛、嘔吐、下痢といった副作用も軽減されますので、私はこの方法でチャレンジすべきだと思います。

‐‐現在、どのくらいの患者さんが使っていますか。

難波 国内では約一〇〇〇人、アメリカでも一〇〇〇人、イギリスでは二〇〇~三〇〇人くらいです。イギリスでは、がんと同時にエイズに効くのではないか、ということでチャレンジしまして、その結果を今年10月に、シドニーの国際きのこ学会で発表する予定です。

‐‐がんに効くといわれるものが多いようですが。

難波 どれだけ動物実験データがあるか、医者がどれだけのことをやっているのか、ということを、一般の人もチェックしなければならないと思います。

今は、インターネットで調べられますから、宣伝のホームページを見るのではなく、どの学会で発表されて、どの学術雑誌に掲載されているかということを知った上で評価するべきです。

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